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日本人サッカー監督はなぜ「色」を貫けないのか。「森保化」したかに見える川崎・鬼木監督を心配する

杉山茂樹スポーツライター
(写真:松尾/アフロスポーツ)

 国立競技場に54243人の観衆を集めて行われた湘南ベルマーレ対川崎フロンターレ戦。

 この試合が両軍のホームスタジアムで行われていれば、スタンドは緑と青の2色に分かれていたはずである。第3者が介在する余地は1割も残されていないだろう。しかし舞台が国立競技場となると話は変わる。この一戦の場合は湘南3割(約16300人)、川崎2割(約10800人)、その他5割(約27000人)だった。つまり国立競技場には、当事者と同程度の第3者が詰めかけていた。

 サッカーの普及発展に関わる試合。国立競技場で試合をするチームにはそうした覚悟が不可欠になる。よい試合を広くご披露する感覚である。ところがこの湘南対川崎は、第3者にとって退屈な試合だった。結果は川崎の2-0。順当なスコアに終わったが、川崎がよいサッカーをした結果、2-0で勝利したわけではない。

 敗れた湘南のファンは落胆し、勝利した川崎のファンは満足した。それぞれのファンは結果に素直に反応できたかもしれないが、中立のファンはどうしたか。満足度はどれほどだったか。心配になる。筆者と似た感覚だったのではないかと想像する。

 実際、記者席から対面に位置するバックスタンド3階席の観衆が、後半の途中から徐々に席を後にする様子をしっかり確認することができた。

 試合後、川崎の鬼木達監督はまずこう述べた。「選手には『今日は勝つことが非常に重要だ』という話をした中で、国立競技場という大舞台で、大勢のサポーターの中で勝てたことが嬉しい。3試合続けて失点ゼロに終わったことも評価する」と満足そうな表情を浮かべた。

 鬼木監督が言う大勢のサポーターとは正確には何割を指すのか。湘南サポ−ターと中立のファンを除いた川崎サポーターは、1万人を少し超える程度に過ぎない。

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スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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