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日韓戦を感情論で語ることの愚かさについて

杉山茂樹スポーツライター
(写真:ロイター/アフロ)

 今月24日、日韓戦が行われる。代表戦をホームで開催するのは2019年11月、吹田で行われたベネズエラ戦以来、1年4ヶ月ぶり。日韓戦は同年12月、韓国の釜山で開催された東アジアE1選手権以来となる。国内で久々に行われる代表戦。それが日韓戦となると観戦のモチベーションはいっそう上がる。

 とはいえ、親善試合のひとつであることも確かなのである。

 2019年12月、釜山で開催されたE1選手権で、日本が韓国に0-1で敗れると、森保一監督への批判は急速に膨らんだ。

 その1ヶ月前には、ベネズエラにホームで1-4と大敗していた。五輪チームも同様にホームで0-2と完敗。森保監督にはE1選手権の前から、すでに危ういムードがぷんぷんと漂っていた。しかし、世の中は優しかった。鈍かったと言うべきか。メディアもファンもその時点で、批判精神を発揮することはなかった。

 ところが、E1選手権で韓国に敗れると一転。森保監督への批判は、堰を切ったようにあふれ出した。サッカーには、批判が生まれやすい競技的な特性があるとはいえ、日本は例外だ。世界に比べるとまだまだ劣る。10分の1程度しかないと言いたくなるその控え目な批判精神は、釜山で韓国に0-1で敗れると、一気に爆発した。

 それが日韓戦の持つ意味だと言えば、それまでだが、もし1-1で引き分けていたら、どうなっていただろうか。及第点だと胸をなで下ろしていた可能性が高い。内容はどうあれだ。

 だがこの試合の0-1は、1-1あるいは0-0より、0-2に近い内容だった。特に前半は韓国の一方的なペースで、3点決められていても不思議はなかった。終盤、日本は巻き返したが、トータルで見れば惜敗というより完敗に近かった。

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スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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