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5人の交代枠を最も有効に活用した監督は(その2)。鬼木、片野坂、下平vs.宮本、浮嶋、三浦

杉山茂樹スポーツライター
(写真:西村尚己/アフロスポーツ)

 以下の表は、各監督が選手交代を実行した1試合の平均値だ。

(※監督がシーズン途中で交代した神戸と清水は、引き継いだ後任監督のデータになる。清水の平岡宏章監督は9試合分、神戸の三浦淳寛監督は15試合分となる)

1(1位)川崎・鬼木達 4.91人

2(11位)大分・片野坂知宏 4.82人

2(15位)横浜FC・下平隆宏 4.82人

4(5位)鹿島・ザーゴ 4.7人

5(10位)浦和・大槻毅 4.64人

5(13位)鳥栖・金明輝 4.64人

7(8位)広島・城福浩 4.55人

7(12位)札幌・ペトロビッチ 4.55人

9(17位)仙台・木山隆之 4.52人

10(9位)横浜FM・ポステコグルー 4.45人

11(16位)清水・平岡宏章 4.44人※

12(6位)東京・長谷川健太 4.42人

13(2位)G大阪・宮本恒靖 4.27人

14(18位)湘南・浮嶋敏 4.20人

15(4位)C大阪・ロティーナ 4.06人

16(14位)神戸・三浦淳寛 3.67人※

17(7位)柏・ネルシーニョ 3.60人

18(3位)名古屋・フィッカデンティ 3.39人

(カッコ内は今季の順位)

 1試合平均4.91人の鬼木監督と、3.39人(18位)のマッシモ・フィッカデンティ監督(名古屋)の差は1.52人。これが33試合の延べ人数になると162人対112人となる。

 162人を起用して優勝した川崎と、112人を起用して3位になった名古屋と、クラブの総合力はどちらが上昇したか。選手層はどちらが厚くなったか。来季に向けて期待が持てるのはどちらか。副産物が見込めるのは162人を使った川崎ではないだろうか。

 昨年の9月、名古屋の監督に就任したものの、そこで13位でフィニッシュさせたフィッカデンティにとって、今季はなにより結果が欲しかったものと思われる。センターバックの2人、丸山祐市と中谷進之介が今シーズンフルタイム出場(34試合、計3040分・ロスタイム含まず)を果たしたのは、その産物と言えた。だが、その結果、他のセンターバックに出場機会はまったく与えられなかった。この事実をどう考えるか。丸山、中谷のどちらかがシーズンが佳境にさしかかったときに負傷したら、代役が務まる選手はいなかったはずだ。これは結果オーライの采配とは言えまいか。

 11月15日に行われた27節対FC東京戦に至っては、交代選手は1人しか使っていない(阿部浩之→相馬勇紀)。相馬の出場時間もわずか5分(ロスタイム含まず)に限られた。

 代表チームで、ある特定の選手に、キャップ数がどんどん増えていく姿を連想する。遠藤保仁が記録した152回、長友佑都が記録した123回、さらには井原正巳が記録した122回など、それぞれは立派な数字ながら、その影で出番を失った選手、伸び悩んだ選手がいることも確かなのだ。

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スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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