独自の視点で選定したJ1リーグ18チームのスタジアムランキング<後編>1位に輝いたスタジアムはここだ

写真:杉山茂樹/Shigeki SUGIYAMA

 独自の視点で選定したJ1リーグ18チームのスタジアムランキング。その後編です。湘南ベルマーレのホーム=Shonan BMW スタジアム平塚以西のスタジアムを採点しました。総合ランキング、部門別ランキングを文末にまとめて掲載してあります。最後までご覧下さい。

前編はこちら>>>

<後編>

●Shonan BMW スタジアム平塚(湘南ベルマーレ/15380人)=21点

視角=4

ピッチまでの距離=4

アクセス=4

建物としての魅力度=4

快適度=5 

隣接する平塚公園との一体感が魅力

 JR東海道本線平塚駅から25分。徒歩で向かう人、バスを利用する人との関係はほぼ半々。自転車を向かうファンの姿も目立つ。アウェー観戦者にとってアクセスはけっしてよくない。だが、スタジアムが近づくと楽しげなムードに包まれることになる。スタジアムの手前に広がる平塚総合公園が、ホーム戦の雰囲気を高める役割を果たしているのだ。両者に一体感があるところがいい。

 スタジアム近くには「ベルマーレ・フードパーク」というキッチンカーが大挙して連なるゾーンがあり、ファンはお祭りにやってきたような、高揚感を抱きながらスタジアムのゲートをくぐることになる。スタジアムは国体の会場を思わせる昔ながらの陸上競技場だ。湘南ベルマーレがベルマーレ平塚の名前で戦っていた90年代から大きく変わった様子はないが、新スタジアム建設計画はあるそうだ。完成すればより高い求心力がクラブには生まれるだろう。

●IAIスタジアム日本平(清水エスパルス/19695人/専用)=29点

視角=7

ピッチまでの距離=9

アクセス=2

建物としての魅力度=6

快適度=5

ベストピッチ賞を9度受賞した芝自慢のスタジアム

 辿り着くまでが大変な、ついタクシーを利用したくなるスタジアムだ。場所は日本平の中腹。清水駅、草薙駅からバスを利用しても、最寄りの停留所から優に10分以上、山道を登らされることになる。スタジアムに着いてしまえば問題ない。サッカー専用スタジアムなのでピッチは近く、スタンドの傾斜角もまずまずだ。そしてなによりピッチの芝のグリーンが美しい。

 Jリーグでは2016年までベストピッチ賞なるものを設けていて、毎シーズン表彰してきたが、日本平はこの賞を通算9度受賞している。もちろんこれは断トツの一番(2位は6回受賞のデンカビッグスワンスタジアム=新潟)だ。日本平の斜面にある立地のよさもそれを後押ししていると思われるが、日本の芝管理の技術をリードするスタジアムでもあるのだ。

 問題はスタンドを覆う屋根の面積が少ないこと。左右非対称なバックスタンドの造りも、バランス的に違和感を覚えずにはいられない。なお清水には、日本平とは別の場所に新スタジアム建設計画があるという。アクセスのよい場所に建てられれば、大幅な観衆増が見込めそうだ。

●パロマ瑞穂スタジアム(名古屋グランパス/20223人)=22点

視角=4

ピッチまでの距離=4

アクセス=6

建物としての魅力度=4

快適度=4

今季で見納めとなる老舗スタジアム

 2001年豊田スタジアムが誕生するまで名古屋グランパスのメインとして稼働してきた老舗。現在も、豊田スタジアムと開催される試合数はほぼ同数ながら、正式なホームはこちらになる。1941年開場。1950年の国体開催に合わせてスタンドが設けられた。日本の各地には国体開催を機に陸上競技場が建設されていった経緯があるが、その先駆けのようなスタジアムだ。

 時代の節目というべきか、改築されることが決まっている。愛知県及び名古屋市で開催される2026年アジア大会のメイン会場として生まれ変わるという。工事が始まるのは2021年からなので、今季は見納めのシーズンとなる。

●豊田スタジアム(名古屋グランパス/40647人/専用)=34点

視角=8

ピッチまでの距離=9

アクセス=4

建物としての魅力度=7

快適度=6

38度の視角を誇る専用スタジアム

 名古屋グランパスの準ホーム。眺望に優れた球技専用スタジアムだ。2階席の傾斜は38度。欧州で急傾斜とされる基準が35度なので、それを大きく勝る視角を保っている。正面スタンドの一部の席からは、腰を浮かせ、上体を乗り出さなければ手前のタッチライン付近が見えにくいという欠陥もあるが、観戦環境はその点を大目に見たくなるほど快適だ。

 もう一点問題を挙げるなら、開閉式の屋根が開きっぱなしの状態にあることだ。開閉に莫大なコストが掛かるため断念したとのことだが、屋根が中途半端な位置で止まっている姿はパッと見、美しくない。また、アウェーサポーターには名古屋から最寄りの豊田市駅まで地下鉄で50分強かかるアクセスが一番の問題となる。スポーツツーリズム的には、名古屋市内にある正式なホーム、パロマ瑞穂スタジアムの方が上になる。

●パナソニックスタジアム吹田(ガンバ大阪/39694人/専用)=37点

視角=9

ピッチまでの距離=9

アクセス=4

建物としての魅力度=8

快適度=7

視角35度の欧州的な香り漂うスタジアム

 2階席からの視角は35度と上々。ピッチまでの距離も近い。屋根もスクエアに綺麗に覆われていて反響性、密閉性に優れる。グラスゴー・レンジャーズのホーム=アイブロックスを連想させる欧州的な香り漂う、1度は行っておきたいスタジアムだ。国立競技場の10分の1の額に相当する150億円で作られた、低コストスタジアムとしても知られる。高級マンションと、そうではないマンションとの違いのようなものは感じる。階段やコンコースを歩いた時、跳ね返ってくる感触に厳かさを感じない。内部施設もかなり手狭だ。だが、これは致し方のないこと。1500億円の巨費を投じて建設された国立競技場より遙かに高い納得感がある。

 それ以上に問題として挙げたくなるのはアクセスだ。前スタジアムがモノレール駅の目の前だったことで、より不便に感じる。駅から山あり谷ありの道をかなり歩かされる。収容人員が倍加したにもかかわらず、徒歩圏内にモノレール駅が1つしかない点は問題。試合後のことが少々、気になるスタジアムであることも確かなのだ。

●ヤンマースタジアム長居(セレッソ大阪/47853人)=28点

視角=6

ピッチまでの距離=4

アクセス=7

建物としての魅力=6

快適性=5

スポーツ文化の高さを実感できる立地に優れたスタジアム

 2002年の日韓W杯に続き2007年に世界陸上を開催した実績を持つ、関西を代表する総合陸上競技場。改築前の旧スタジアムはその昔、お正月の高校サッカー選手権のメイン会場として使用された。日本サッカーを語る上で欠かせない歴史を持つ正統性高いスタジアムだ。ロケーションも魅力的だ。長居公園、長居球技場、ヤンマーフィールド長居など、辺り一帯は各種スポーツ施設が点在する一大スポーツコンプレックスになっていて、市民に開かれたスポーツ文化の発信源として機能している。アクセスも上々だ。地下鉄御堂筋線長居駅、JR阪和線鶴ヶ丘駅、長居駅から徒歩数分の距離にある。試合後、比較的スムーズに帰路に就くことができる。

 スタジアムは、日本代表戦等では満員になるが、セレッソの試合では半分程度しか埋まらない。器の大きさに負けてしまっているという印象。スタンドとピッチの距離も離れているので、臨場感に物足りなさを感じる。一方スタジアムグルメは充実している。正面スタンド前に開設される「セレッソバー」では、串カツ、ホルモン、たこ焼きなど大阪っぽい食が、かなり本格的に楽しめる。

●ノエビアスタジアム神戸(ヴィッセル神戸/29332人/専用)=39点

視角=7

ピッチまでの距離=8

アクセス=7

建物としての魅力度=9

快適度=8

快適な観戦環境が約束された開閉式

 現在の開閉式ドームスタジアムになったのは2002年日韓共催W杯後。それまではドームではなく、ゴール裏席が高くせり上がる収容人員4万2千人のオープンエア型だった。収容人員を1万人強削り、機能的でコンパクトなスタジアムに変身したことが奏功している印象だ。約3万人収容のスタンドは大きからず小さからずちょうどいい感じで、デザインを含めバランスがとれている印象。

 専用スタジアムなのでピッチが近く、臨場感が味わえる。雨露を凌ぐこともできる。アクセスも悪くない。最寄りの御崎公園駅から歩いて数分。神戸の中心地、三宮からトータル30分で着席できる。アウェーサポーターには神戸という街も欠かせない魅力になる。ヴィッセル神戸はスタジアムにストレスを抱えていないJリーグにおいて数少ないクラブだと言える。

●エディオンスタジアム広島(サンフレッチェ広島/35909人)=18点

視角=4

ピッチまでの距離=4

アクセス=2

建物としての魅力度=4

快適度=4

アクセスに恵まれない、満杯率の低いスタジアム

 広島駅からJRで次の新白島駅に行き、そこからアストラムラインに乗り換えて、終点の広域公園前で下車。そこまでで約45分。スタジアムはそこから約1キロ先の丘の上にある。歩く時間は15分程度だが急勾配だ。小さな子供や年配者には辛く厳しい道のりとなる。アクセスの悪さがこのスタジアム最大の問題だ。

 昨季の平均観客数は1万4千人弱。アクセスが悪い中で健闘しているように見えるが、満杯率という視点で見るとこれは4割にも満たない数字だ。パッと見、スタンドはガラガラだ。400mのトラック付きのスタジアムなので、ピッチとスタンドは離れている。つまり選手は空虚感を二重に味わいながらプレーすることになる。

 新スタジアム建設を望む声が高まるのは当然だ。計画は進行していて、旧広島市民球場の跡地に複合型スタジアムとして2024年オープンするという話。そこは街の中心地だ。アクセス的にも申し分ない。近代的なスタジアムが誕生することを期待したい。

●駅前不動産スタジアム(サガン鳥栖/24130人/専用)=40点

視角=10

ピッチまでの距離=9

アクセス=10

建物としての魅力度=6

快適度=5

駅前に超然と立つ孤高のスタジアム

 博多駅から鳥栖駅まで特急で30分弱。そこから電車は長崎方面、鹿児島方面に分岐していく。高速道路も、九州を縦に(南北)に走る九州縦貫自動車道と横(東西)に走る九州横断自動車道が合流するポイントだ。まさに九州の要所である。駅前不動産スタジアムは文字通り、鳥栖駅の目の前にある。ロケーションは日本一。

 だが、日本一はこれだけでは終わらない。40度というスタジアム2階部分の傾斜角だ。そのうえ専用スタジアムである。2階席でもピッチは近い。ドローンで眺めるような絵が広がる。臨場感も楽しめれば、ゲーム性を楽しむことができる。スタジアムは器状ではない。正面とゴール裏、バックとゴール裏の間に隙間がある。ともすると安普請に見えるが、シンプルかつシャープなデザインとの見方もできる。いずれにしても貴重なスタジアムだ。他に類を見ない独創的で時代を先取りしたような孤高のスタジアムである。

●昭和電工ドーム大分(大分トリニータ/31997人)=27点

視角=6

ピッチまでの距離=4

アクセス=3

建物としての魅力度=8

快適度=6

暗くならない開閉式ドーム

 山の中にある。着陸した宇宙船のようなフォルムをしたスタジアムが、まさに忽然と姿を現す感じだ。故黒川紀章氏設計の開閉式ドーム。陸上トラック付きの開閉式ドームは日本では他に例を見ない。特徴は、屋根を閉じてもインドア特有の重たいムードにならない点。屋根が光の透過性の高い素材でできているので、明るさは維持される。札幌ドームとの違いでもある。観戦のモチベーションはこちらの方が高まる。

 問題点は満杯率の低さだ。これはチームの問題というよりスタジアムの問題で、実情にそぐわない大きさなのだ。そのうえピッチも遠いので、総じて希薄な印象を受ける。そしてアクセスだ。大分駅前からバスで数十分。一昨年11月の代表戦(対ベネズエラ)では、キックオフの1時間半以上前に乗車しても、到着したのは前半25分だったという人もいた。

 大分空港から大分駅までバスで1時間。空港からスタジアムまでどんなに順調に行っても2時間はかかる。だが大分はアウェーファンに思いのほか人気だ。後押しするのは別府、由布院という温泉地。スポーツツーリズムの高いポテンシャルを秘めている。この魅力。もっと打ち出してもいいのではないだろうか。

前編はこちら>>>

●総合ランキング

          

(1位)駅前不動産スタジアム=40

(2位)ノエビアスタジアム神戸=39

(3位)パナソニックスタジアム吹田=37

(4位)ユアテックスタジアム仙台=36

(5位)豊田スタジアム=34

(6位)県立カシマサッカースタジアム=33

(7位)札幌ドーム=32

(8位)埼玉スタジアム2002=29

(8位)IAIスタジアム日本平=29

(8位)三協フロンテア柏スタジアム=29

(10位)ヤンマースタジアム長居=28

(11位)昭和電工ドーム大分=27

(13位)味の素スタジアム=26

(13位)等々力陸上競技場=26

(13位)ニッパツ三ツ沢球技場=26

(16位)パロマ瑞穂スタジアム=22

(17位)Shonan BMW スタジアム平塚=21

(18位)日産スタジアム=18

(18位)エディオンスタジアム広島=18

●視角ランキング

(1位)駅前不動産スタジアム=10

(2位)パナソニックスタジアム吹田=9

(3位)豊田スタジアム=8

(4位)県立カシマサッカースタジアム=8

(5位)埼玉スタジアム2002=7

(5位)ノエビアスタジアム神戸=7

(5位)IAIスタジアム日本平=7

(5位)ユアテックスタジアム仙台=7

(5位)ニッパツ三ツ沢球技場=7

(10位)ヤンマースタジアム長居=6

(10位)昭和電工ドーム大分=6

(10位)等々力陸上競技場=6

(10位)三協フロンテア柏スタジアム=6

(14位)味の素スタジアム=5

(15位)札幌ドーム=4

(15位)エディオンスタジアム広島=4

(15位)パロマ瑞穂スタジアム=4

(15位)Shonan BMW スタジアム平塚=4

(19位)日産スタジアム=3

●ピッチまでの距離ランキング

(1位)三協フロンテア柏スタジアム=10

(2位)豊田スタジアム=9

(2位)パナソニックスタジアム吹田=9

(2位)駅前不動産スタジアム=9

(2位)IAIスタジアム日本平=9

(2位)ユアテックスタジアム仙台=9

(2位)ニッパツ三ツ沢球技場=9

(8位)県立カシマサッカースタジアム=8

(8位)ノエビアスタジアム神戸=8

(10位)埼玉スタジアム2002=7

(11位)味の素スタジアム=5

(11位)等々力陸上競技場=5

(13位)ヤンマースタジアム長居=4

(13位)札幌ドーム=4

(13位)エディオンスタジアム広島=4

(13位)昭和電工ドーム大分=4

(13位)パロマ瑞穂スタジアム=4

(13位)Shonan BMW スタジアム平塚=4

(19位)日産スタジアム=1

●アクセスランキング

(1位)駅前不動産スタジアム=10

(2位)ユアテックスタジアム仙台=8

(3位)ノエビアスタジアム神戸=7

(3位)ヤンマースタジアム長居=7

(3位)札幌ドーム=7

(6位)味の素スタジアム=6

(6位)パロマ瑞穂スタジアム=6

(8位)三協フロンテア柏スタジアム=5

(8位)等々力陸上競技場=5

(10位)豊田スタジアム=4

(10位)パナソニックスタジアム吹田=4

(10位)Shonan BMW スタジアム平塚=4

(10位)日産スタジアム=4

(14位)ニッパツ三ツ沢球技場=3

(14位)昭和電工ドーム大分=3

(16位)IAIスタジアム日本平=2

(16位)県立カシマサッカースタジアム=2

(16位)埼玉スタジアム2002=2

(16位)エディオンスタジアム広島=2

●建物としての魅力度ランキング

(1位)ノエビアスタジアム神戸=9

(1位)札幌ドーム=9

(3位)パナソニックスタジアム吹田=8

(3位)昭和電工ドーム大分=8

(5位)ユアテックスタジアム仙台=7

(5位)豊田スタジアム=7

(5位)県立カシマサッカースタジアム=7

(5位)埼玉スタジアム2002=7

(9位)ヤンマースタジアム長居=6

(9位)駅前不動産スタジアム=6

(9位)IAIスタジアム日本平=6

(11位)味の素スタジアム=5

(11位)日産スタジアム=5

(14位)パロマ瑞穂スタジアム=4

(14位)等々力陸上競技場=4

(14位)Shonan BMW スタジアム平塚=4

(14位)エディオンスタジアム広島=4

(18位)三協フロンテア柏スタジアム=3

(18位)ニッパツ三ツ沢球技場=3

●快適度ランキング

(1位)ノエビアスタジアム神戸=8

(1位)札幌ドーム=8

(1位)県立カシマサッカースタジアム=8

(4位)パナソニックスタジアム吹田=7

(5位)昭和電工ドーム大分=6

(5位)豊田スタジアム=6

(5位)埼玉スタジアム2002=6

(5位)等々力陸上競技場=6

(9位)ユアテックスタジアム仙台=5

(9位)駅前不動産スタジアム=5

(9位)IAIスタジアム日本平=5

(9位)味の素スタジアム=5

(9位)ヤンマースタジアム長居=5

(9位)日産スタジアム=5

(9位)Shonan BMW スタジアム平塚=5

(9位)三協フロンテア柏スタジアム=5

(17位)パロマ瑞穂スタジアム=4

(17位)エディオンスタジアム広島=4

(17位)ニッパツ三ツ沢球技場=4

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、2018年ロシア大会で連続10回現地取材となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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