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得点王に輝いた右利きの右ウイング。仲川輝人が世界的に激レアな例である理由

杉山茂樹スポーツライター
(写真:西村尚己/アフロスポーツ)

 4−2−3−1の3の右、あるいは4−3−「3」の「3」の右(右ウイング)には、左利きが起用されるケースが目立つ。日本代表を例に取れば堂安律、久保建英がこれに当たる。かつての本田圭佑も1トップ下や0トップもこなしたが、一番多かったのは4−2−3−1の3の左だった。

 その反対側(左サイド)は右利きを置くケースが目立つ。日本代表で言えば、乾貴士、香川真司、そして原口元気(ロシアW杯など右を務める場合もあるが)も左の方が多い。右利きは概して左の方が居心地よさそうにプレーする。香川に至っては右でプレーすることそのものに無理を感じる。

 世界的な傾向でもある。右に左利き、左に右利きを置くことは、その逆のケースを大きく上回る。かつては右には右、左には左が多数派だったが、それぞれの関係はここ20年ぐらいの間にすっかり入れ替わった。

 それだけにいま、右利きの右ウイングは新鮮に映る。ヘンク所属の伊東純也(右利きの右ウイング)が、ベルギーリーグやチャンピオンズリーグでそれなりに活躍している理由も、その絶対数の少なさと密接な関係がある。

 左利きの右ウイングは、内へ切れ込もうとする。利き足である左足でシュートを狙いやすいこと。縦に抜けた後に待ち受ける右足で蹴らざるを得ないクロスに消極的になる気持ちも、その理由に輪をかける。

 右利きの左ウイングも同様。左利きの選手とは違い、右利きの選手は折り返しに求められる利き足とは逆足(左足)のキックを練習しているので、左利きの右ウイングより、縦抜けを試みる割合は増える。だが、それでも7対3ぐらいの関係で、彼らは内へ切れ込んでいく。

 ゴールへ進入していくルートは、おのずと浅くなる。相手のゴールラインまで距離を残した段階で、内に折れ曲がってくる。最深部を使わないサッカー(見た目も美しくない)に陥りやすいのだ。

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スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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