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久保建英。ウインガーとして鋭さを磨くことをオススメしたい

杉山茂樹スポーツライター
(写真:西村尚己/アフロスポーツ)

 Jリーグ開幕戦、FC東京対浦和レッズの後半27分に途中交代で出場した久保建英。配布されたスタメン表には身長173センチと記されていたが、遠目から見る限り、160センチ台にしか見えなかった。大人の中に混じると、見るからに小さい感じがした。

 現在16歳。僕は17歳のメッシが、バルサのトップチームでプレーする姿を幾度か見たことがあるが、それとの比較で言えば、大人しい印象だ。落ち着いているというか、見た目とは違い、大人っぽいというか、悪く言えば、子供らしくない。無邪気じゃない。プレースタイルで言えば、ドリブルで頻繁に縦を狙っていたメッシに対し、久保は周りを見てパッサー役に回りたがる印象だ。

 一方、高い位置でボールに絡むと、潰される確率が高かった。小さな選手特有の弱さを感じさせた。16歳なので仕方がないのかもしれないが、それを圧しても縦に行こうとする、メッシのような積極果敢さに欠けた。

 ポジションはFWであるにもかかわらず、MF的。FWのメンタリティではない気がする。メッシは右ウイングとしてデビューしたが、久保は真ん中。ある意味で自由な場所だ。この差が、中盤的な選手に見えてしまう大きな理由かもしれない。右ウイングは下がることが許されないポジションだが、2トップの一角は下がっても目立ちにくい。

 中盤選手として落ち着いて欲しくない。小さくまとまらず、FW、アタッカー、まさにメッシ型の選手として大成して欲しいと願っているこちらにとって、現在の久保には物足りなさを覚える。真ん中でパス回しに絡むのではなく、ウイング、サイドアタッカーとしてドリブルに磨きを掛けて欲しい。変に落ち着かず、そして失敗を恐れず、プレーの鋭さに磨きを掛けて欲しい。その方が将来に繋がる。従来の日本人選手像を覆す選手になれるーーと思う。

スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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