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“忖度”の国で思う、サッカー界の報道の自由度ランキング

杉山茂樹スポーツライター

 FIFAランキングは、かつてしきりに引用された。現行の算出方法になった1999年以降、日本の最高順位は13位(2005年7月、2011年4月、6月)だ。順位を連呼したくなる理由はよく分かる。

一方、現在のランキングは56位。その事実を知らない人に、わざわざ知らせたくない順位である。事実、積極的に伝えようとするメディアは少ない。W杯本大会の出場枠は32。本大会が2倍のスケールで行われても、グループリーグ突破が望めそうもない順位である。

実際のところはどうなのか。56位より上だと思いたいが、30番台は難しいだろう。確実に言えるのは、一頃より大きく下降していることだ。これは隠しようのない事実。強がりを言わず、現状を是認することから始めないと、逆転は望めない。

 

下降線を示す理由としてまず挙げられるのが、若手選手に好素材が少ない点だ。選手の育成に問題があることは明白。だが、この件については、1月24日発行のメルマガ(誰が言ったか育成大国。日本が偏差値52止まりな理由)で触れているので、ここでは別の理由について触れてみたい。

 着目したくなるのは、日本のメディア報道だ。国境なき記者団が年1回発表している世界報道自由度ランキングに基づけば、日本は72位だという。日本が世界でも指折りの民主主義国家だとすれば、その名が泣く低位を彷徨っている。それは真実なのかと疑いたくなるが、これまで約70ヶ国を回ってきた一介のスポーツライターとして言わせてもらえば、この順位について思い切り納得する。

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スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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