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日本に最もフィットする代表監督は誰か。近場で思いつく3人の候補者

杉山茂樹スポーツライター
2015年アジア杯準々決勝対UAE戦。延長突入を前に指示を出すハビエル・アギーレ(写真:FAR EAST PRESS/アフロ)

 歴代の日本代表監督の中で一番よかったのは誰か? と問われれば、ハビエル・アギーレじゃないの? と返したくなる。試合数はわずかに10。じゃないの? と、返しが弱くなるのは、感触程度になるからだが、印象は悪くない。少なくとも僕の中では、もっと見てみたいサッカーだった。いつかも述べたと思うが、1−0で勝利した2015年アジアカップ対イラク戦は、日本代表史に残るベストゲームだと言いたくなる。

 マイボールに転じ、ビルドアップに入るや、4−3−3のセンターバック2人が大きく開き、その真ん中にアンカーが降りてきて、瞬間、同時にサイドバックが押し上がる。4−3−3と3−4−3の中間型、可変式とも言うべきそのサッカーには、1本筋の通った気品のようなものが感じられた。

 例えば、アンカーとして可変式の主役となり、その後、所属のフランクフルトで、リベロっぽいセンターバックとして活躍することになった長谷部誠にとって、アギーレは新境地を開拓してくれた恩人と言えるのではないだろうか。

 ただ、アギーレにも問題はあった。就任して4試合までは、4年周期で回る代表チームの1年目に相応しく新戦力を積極的に試したが、4試合目に当たるブラジル戦に0−4で敗れると、その後ベテランを復帰させ(この中には長谷部も含まれるのだが)、そしてアジアカップに臨んだ。路線を急に変化させた。代表チーム絶対主義、すなわち代表チームは常にベストメンバーで戦うものという旧態依然たる概念に凝り固まる、日本の一部メディアからの批判を受けた格好で。

 メディアからの攻撃は、アギーレにとって、さぞカルチャーショックだったに違いない。止めどもない違和感に襲われたものと想像する。クッション役となるべき、専務理事(原博実)、技術委員長(霜田正浩)が、そこでどの程度、衝撃を和らげることができたのか、はなはだ怪しい。

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スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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