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W杯予選、勝敗よりも熱を帯び始めた起用レース

杉山茂樹スポーツライター
(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

ホームで敗れたUAEとのアウェイ戦。落とすわけにはいかないこの重要な一戦を制した日本代表だが、メンバーの喜び方は様々。それぞれには温度差がある。サッカーとはそういうものだ。出場できると思っていたのに、出番さえなかった選手。勝利に湧く渦の端で、面白くない思いをしているのは誰か。

UAE戦の試合前、布陣が4−2−3−1ならば前の4人は、1トップに大迫勇也、その一列下には左から原口元気、香川真司、清武弘嗣の3人が並ぶものと思われた。久保裕也が入るなら、清武の所だろうと思ったが、清武に交代出場を含め一切、出番が回ってこないとは、及びもつかなかった。

この原稿は、タイ戦の前に書いているので、そこで誰が出場したか知る由もないが、タイ戦に清武が先発を飾っても、チーム内のヒエラルキに大きな変化は起きないだろう。

UAE戦とタイ戦。この2連戦には、接戦度において著しい差がある。試合のレベルが違う。監督から厚い信頼を得ているのは、レベルの高い試合に出場する選手。むしろ、ヒエラルキが明確になる瞬間でもある。選手が是非とも出たい試合はUAE戦。そこで清武は、ベンチを温め続けた。

彼を抑えて出場した久保は先制点をゲット。その後のプレイもまずまずで、久保を先発させたハリルホジッチの判断を讃える声も少なくなかった。

後半33分、久保はベンチに下がったが、交代で入ったのは、所属のミランで今季、96分しか出場時間のない本田圭佑だ。かつての大黒柱とはいえ、当初は、招集さえ危ぶまれた選手。清武はその本田にも先を越された格好だ。面白くない話とはこのことだ。 

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スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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