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ジダンサッカーの申し子、ルーカス・バスケスはなぜ稀有なのか?

杉山茂樹スポーツライター

クラブW杯に臨むレアル・マドリー。昨季の欧州チャンピオンであり、数年来、似たようなポジションに君臨する世界で一、二を争う強豪だ。メンバーも、微妙な入れ替わりはあるが、大物の加入は、14−15シーズンの、ハメス・ロドリゲスが最後。語り尽くされていない新鮮な要素を挙げるとすれば、それは、ジダン監督の監督力であり、そのサッカーの中身になる。

ジダンの監督としての特徴を探ろうとしたとき、目に止まるのが右ウイング、ルーカス・バスケスだ。怪我で離脱したガレス・ベイルの代役として、C・ロナウド、ベンゼマととともに3FWの一角を張る、マドリーユース出身のスペイン人選手。これまでの流れに従えば、ハメス・ロドリゲスをそこで起用するのが順当な選択ながら、ネームバリューで劣る彼を、ジダンは積極的に登用する(ジダンがかつてユース監督だったこともあるが)。昨季も出場機会はそれなりに与えられたが、ベイルの離脱に伴い、その存在感はいっそう際立っている。

右利きの右ウイング。特筆すべき点はここだ。右ウイングを張る右利き選手は世の中に希少。しかも、相手サイドバックとの1対1で、縦に抜く芸当にキレを備えた右ウイングとなると、ほぼ皆無。ルーカス・バスケスが貴重に見える大きな理由だ。

例えばバルセロナ。セルジ・ロベルト、アルダ・トゥランは、右利きで右サイドでのプレイを得意にするが、右ウイングと言うには縦への切れ味に乏しい。MF的だ。通常バルサで、右ウイングをスターティングポジションにするのは、左利きのメッシ。メッシが中に入ると、サッと開くルイス・スアレスも、右利きで、右に高い適応能力を持つが、本職としての味わいには乏しい。同じく右利きのネイマールは、左サイド専門だ。

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スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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