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過大評価される2020年と過小評価された2002年の関係について

杉山茂樹スポーツライター

「来る2020年東京オリンピック、パラリンピック開催に伴い〜○○は○○を開始する予定です」。

アナウンサーが読み上げるニュース原稿に、このフレーズを聞かない日はない。と言いたくなるぐらい、目的が東京五輪なら何でも認可しよ

うとするムードを世の中は共有している。

日本人を幸せにしてくれるに違いない絶対的存在。東京五輪は、神様、仏様に迫るレベルにある。疑いを抱いても言い出しにくい、まさに刃向かえないムードが形作られている。

だが、日本が経験した夏季五輪は、52年前の東京五輪(1964年)の一度きりだ。冬季五輪は2度、札幌と長野で開催しているが、夏と冬はスケール的に別物。夏季五輪がいかなるものかというその正体を、肌身を持って実感したことのある人は決して多くない。五輪のイメージは、テレビ観戦を通してつかんだもの。想像の域を脱し得ない、まさに偶像化されたものをここまで信じ込んでしまっていいものか。世の中のムードに違和感を覚えずにはいられない。

中でも絶大な力を誇るのが「おもてなし」だ。おもてなしのためなら、何でもオッケー。予算はいくらでもつきそうな気配だ。話は五輪観戦に多くの外国人観光客が訪れることを前提に進んでいる。だが、その数はどれほどだと予想しているのだろうか。10万人なのか、100万人なのか、500万人なのか。また、その内訳はどうなのか。どの国から多くやってきそうなのか。そうした具体的な話が聞こえてこない中で、大変だ大変だと右往左往しようとしている。

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スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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