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日本代表はなぜシンガポールから点が取れなかったのか

杉山茂樹スポーツライター

アイスホッケーは、ゴールラインを超えてもプレイできる。そこからフェンスまで縦4mある領域にボールを運ぶことができる。相手ゴールの背後に深々と侵入し、そこからマイナスの折り返しが決まればチャンス到来。瞬間、得点の期待は急速に高まる。

ゴール前を固めるディフェンダーは、パックとマーカーをその視界に同時に捉えることができない。パックを見ればマークはズレ、マーカーを見ればパックを見失う。首を左右に大きく振りながらの対応になる。

サッカーのディフェンダーがこの状態に陥るのは、攻撃側がサイドにボールを運んだ時だ。その直前に、サイドチェンジが入っていたり、スピードに変化があったり、複数の人が絡んだりすると、ディフェンダーはさらに混乱する。その結果、攻撃側がマイナスのボールをゴール前に送り込めば、アイスホッケーのように、得点の期待は俄然高まる。

折り返しのポイントがゴールに近ければなおさらだ。合わせる選手は、ボールもGKの動きも同時にその視界に捉えることができる。ディフェンダーと真逆の関係にあるので、得点の確率はアップする。イージーゴールは生まれやすい。

アイスホッケーを連想させるマイナスの折り返し。これは、崩しの理想型に他ならないが、日本代表に決定的に欠けている要素になる。追求もしていないし、こだわってもいない。僕にはそう見える。

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スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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