近鉄内部線・八王子線存続問題のタイムリミットが来ました

近鉄内部線の電車

近鉄内部線、八王子線のタイムリミットがきてしまいました。近鉄は今月末(2013年8月末)を交渉の期限とし、四日市市はギリギリまで近鉄による鉄道事業を説得したいようです。しかし、時すでに遅し。鉄道を残したいなら、8月末の決着では間に合わないかもしれません。近鉄は鉄道の運行期限には言及していませんが、交渉が進捗しない場合は最後のカードを切ります。「路線の休止届を出して、電車を止めますよ」と通告するでしょう。

そうなった場合、流行りのフレーズを使いますと、いつ決めなきゃいけないの? 休止日じゃないでしょ! 2週間前でしょ! なんです。

鉄道を残すためのタイムリミットが、運行停止の2週間前となる理由は2つ。

ひとつは、電車の使用期限が近づいていること。これは近鉄が提示した交渉期限の根拠です。近鉄内部線の電車は新しくても30歳。古いほうは50歳以上。その老朽化と廃車をもって、この路線の運営に区切りをつけたいわけです。

仮に一部の車両の使用期限が今月末とすれば、その車両をなんとか使い続けるためには全般検査が必要です。クルマで例えると車検です。鉄道車両の全般検査は2週間程度かかるそうです。9月以降も電車を走らせたいなら、来週から全般検査に取りかかる必要があります。全般検査を受けない車両は営業できません。使える車両がなくなると、近鉄は車両の未整備を理由として路線休止届を出すという事態になります。

もうひとつは、近鉄が提案している "公有民営化" の手続きの期限です。近鉄としては「BRTにするなら事業を継続するよ。鉄道にしたいなら手を引くよ。そのときは一部施設を無償譲渡してもいいよ」という態度です。近鉄は過去に伊賀線を伊賀鉄道に、養老線を養老鉄道に子会社化しました。しかし今回は近鉄による子会社化は否定しています。鉄道の規格が異なるため、コストダウンのメリットがないからです。

近鉄が手を引くということは、鉄道事業を運営する会社を設立する必要があります。会社設立にどのくらいの期間がかかるでしょうか。こちらも2週間ほどかかるそうです。まあ、自治体のピンチだから法務局さんが特別に頑張ってくれるかもしれませんし、休眠会社を拾ってきて定款を書き換えるなんて裏技もありそうですけども。

運行停止となってから新会社の準備……だとしても、電車が止まれば利用者は困ります。とりあえず、三重交通にバスの臨時便を要請しましょうか。するとあら不思議。記録的な猛暑の中、冷房のない50年前の電車より、冷房の利いた最近のバスの方が快適じゃないの。もうバスでいいや。となりそうです。

近鉄さんはそれを予測して、地元の鉄道継続断念を待っているんじゃないかと思います。もしかしたら、近鉄さんとしては、運行可能時期までもう少し間があって、余裕を見て今月末の交渉期限を設定したかもしれません。そして四日市市さんは、その余裕を引き出して先延ばしにしようとしているのかも? 雑誌の敏腕編集者と遅筆ライターとの締め切りのサバの読み合いみたいな。いゃあ、この期に及んでそんなことしている場合じゃないですよね。