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冬将軍襲来の一方で、統計史上最も遅い台風17号が発生する気配

杉江勇次気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
雲の様子(ウェザーマップ発表に筆者加工あり)

冬将軍で続々と初雪に

推計気象分布(ウェザーマップ)
推計気象分布(ウェザーマップ)

シベリアで育った強い寒気が、冬将軍として日本付近に流れ込んできています。特に北日本には平地でも雪を降らせる寒気が流れ込んでいて、きょう11日(土)午前10時までに、稚内、札幌、網走、室蘭、函館、青森で、初雪を観測しました。

また関東地方では北風が強まっていて、東京都心でも、きょう11日(土)午前5時57分に北北西の風、最大風速7.4メートル(最大瞬間風速16.5メートル)を観測しました。ただ木枯らし1号の基準となる最大風速約8メートル以上には達しておらず、東京地方の木枯らし1号の発表は、見送りになる可能性が高いと思われます。

久しぶりに熱帯低気圧が発生か

天気図の変化(気象庁発表に筆者加工あり)
天気図の変化(気象庁発表に筆者加工あり)

タイトル画像をみると、フィリピンのはるか東海上で、久しぶりに雲域がまとまっていて、気象庁の発表によると、①の赤丸付近で低圧部が解析されています。

低圧部とは周囲より気圧が低く、反時計回りの循環は認められるものの、その中心付近がハッキリとしない熱帯擾乱(ねったいじょうらん)のことで、中心付近がハッキリと解析されるようになると、熱帯低気圧に名前が変わります。熱帯低気圧の風が強まれば、台風となりますので、熱帯低気圧は台風のたまごとも呼ばれています。

気象庁の予想では、この低圧部があす12日(日)午後9時までに熱帯低気圧(TDマーク)に変わる見通しで、熱帯低気圧が発生するのは、10月20日に台風16号が南シナ海で熱帯低気圧に変わって以来、約3週間ぶりとなります。

諸外国を含む種々のモデルでは、この熱帯低気圧は発達しながら西進し、台風と思われる勢力に強まることを示す計算も多くなっていて、来週の週末頃にフィリピン付近に到達する計算が大勢を占めています。さらにタイトル画像にある②の赤丸付近にも別の熱帯擾乱を発生させるモデルも散見される状態です。

台風が発生すれば、統計史上最も遅い台風17号に

1951年以降の台風17号の遅い発生記録(筆者作成)
1951年以降の台風17号の遅い発生記録(筆者作成)

上述したとおり、フィリピンの東海上で台風が発生すれば、台風17号ということになりますが、今年はエルニーニョ現象の影響もあってか、9月以降の台風発生数が4個と極端に少なく、現時点では、1951年の統計開始以来、記録的に少ない台風の発生数となっています。

ですから仮に台風17号が発生したとしても、上図のように、過去最も遅い台風17号の発生(最晩記録更新)ということになります。(2010年と1998年を除く

果たして、統計史上最も遅い台風17号は発生するのか?あるいは発生しないまま時が過ぎるのか?要注目です。

*参考:国立情報学研究所(デジタル台風)

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

人の生活と気象情報というのは切っても切れない関係にあると思います。特に近年は突発的な大雨が増えるなど、気象情報の重要性が更に増してきているのではないでしょうか? 私は1995年に気象予報士を取得しましたが、その後培った経験や知識を交えながら、よりためになる気象情報を発信していきたいと思います。災害につながるような荒天情報はもちろん、桜や紅葉など、レジャーに関わる情報もお伝えしたいと思っています。

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