台風が存在しない9月中旬は63年ぶり、しかし南海上には気になる熱帯擾乱が発生中
台風が存在しない9月中旬は63年ぶり
10日ほど前、東海沖を北上する台風13号の影響で、千葉や茨城を中心に、記録的な大雨が降りました。ただ台風13号自体は上陸することなく、上図のように9月8日(金)午後9時には熱帯低気圧に変わり、その後、きょう19日(火)まで新たな台風は発生していません。
9月中旬(11日~20日)というのは、年間で最も台風が存在しやすい時期でもあり、1個どころか、年によっては2個、3個と存在することも珍しくありません。もしあす20日(水)までに新たな台風が発生しなければ、台風が存在しない9月中旬は非常に珍しく、1960年以来、63年ぶり2度目のこととなります。その可能性はかなり大きいでしょう。
ところがタイトル画像にある通り、日本のはるか南東の海上で大きな雲の塊、低圧部が解析されています。低圧部とは、雲の循環はあるものの、中心付近がハッキリとしない熱帯擾乱(ねったいじょうらん)のことで、中心付近がハッキリするようになると熱帯低気圧に呼び名が変わります。
気象庁の予想によると、この低圧部はあさって21日(木)午前9時にかけてもまだ低圧部のままなので、あす20日(水)、9月中旬までに新たな台風が発生する可能性はかなり小さいでしょう。ただその後、9月下旬にかけての動向に、気がかりな計算が増えてきている状況です。
台風の勢力となり北上する計算も
参考までに上図は、日本のアンサンブル予報の一部を抜粋したもので、ともに来週25日(月)午前9時の予想を示したものです。左側の方はあまり発達しない計算に対して、右側の方は台風と思われる勢力で、日本の南に北上してきています。
諸外国の計算をみると、今の低圧部付近で今週後半には熱帯低気圧が発生する予想を多くのモデルが示しており、今後の動向に注意が必要となるかもしれません。
海水温は上昇、日本の南は30度以上も
台風の存在していた9月上旬にかけては、海水がかき混ぜられたこともあり、日本の南の海水温は平年より低い地域もありましたが、その後は上述の通り、台風の通過がないため、強い日差しに照らされ、徐々に昇温しています。
きのう18日(月)の段階では、平年より低い所はほぼなく、29度から30度以上の海域が広がっており、熱帯低気圧の発達には適した環境場となってきています。気がかりな海水温の上昇です。
参考:国立情報学研究所(デジタル台風)