Yahoo!ニュース

気になる新たな熱帯擾乱が発生中、今後発達しながら北上も?

杉江勇次気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
低圧部の雲(ウェザーマップ)

記録的な大雨

48時間の降水量(ウェザーマップ)
48時間の降水量(ウェザーマップ)

台風2号から暖かく湿った空気が流れ込み、梅雨前線の活動が活発となったため、6月早々、記録的な大雨に見舞われました。

高知、和歌山、奈良、三重、愛知、静岡では、線状降水帯が発生し、また線状降水帯が発生しなかった関東などを含め、太平洋側では広く200ミリ以上の大雨となり、静岡県天城山517.5ミリ、三重県鳥羽507.0ミリ、神奈川県箱根496.5ミリ、愛知県伊良湖460.0ミリなど、500ミリ前後の豪雨となった所もありました。

前線が日本付近に発生している場合は、台風が離れて通ったとしても全く油断できず、非常に危険だということが改めて認識されたような形となってしまいました。

台風2号が温低化するとともに低圧部が発生

実況天気図(気象庁発表に筆者加工あり)
実況天気図(気象庁発表に筆者加工あり)

上図はきのう3日(土)午後3時の実況天気図です。

大雨をもたらした台風2号は伊豆諸島付近で梅雨前線と一体化し、温帯低気圧に変わった一方、この時間、日本のはるか南海上で、新たに低圧部が発生しました。低圧部とは周囲より気圧が低く、雲の循環は認められるものの、その中心付近がハッキリとしない熱帯擾乱(ねったいじょうらん)のことで、中心付近が推定できるようになると、熱低低気圧に呼び名が変わります。

けさ4日(日)の段階でもまだ低圧部のままではありますが、諸外国を含む計算では、今後、熱帯低気圧や台風と思われる勢力に発達し、北上を示唆するようなモデルも出始めているため、気になるところです。

発達しながら北上も?

アンサンブル予報の一部抜粋(ウェザーマップ)
アンサンブル予報の一部抜粋(ウェザーマップ)

上図は日本のアンサンブル予報の一部を抜粋したもので、今のところ、日本の計算ではあまり発達するものは少ないものの、なかには左側のように1週間後には沖縄の南方海上にやや発達しながら北上するような計算もあり、この時には本州付近に再び前線に伴う雨雲が発生しているような計算もある状態です。

海水温の状態は?

海水温の状況(気象庁発表に筆者加工あり)
海水温の状況(気象庁発表に筆者加工あり)

台風2号がフィリピンの東海上を猛烈な勢力で通過したため、台風2号が通過する前(5月24日)と通過した後(6月2日)では、上図の様に海水温が下がった様子が分かります。

通過する前は30度以上の海域が広範囲に広がっていましたが、今は赤道周辺に限られているような状態です。とはいえ、フィリピンの東海上は台風が発生、発達するとされる27度以上の海域が広がっているため、今ある低圧部が発達する可能性は十分に考えられる状態で、今後の動向に注意をせねばなりません。

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

人の生活と気象情報というのは切っても切れない関係にあると思います。特に近年は突発的な大雨が増えるなど、気象情報の重要性が更に増してきているのではないでしょうか? 私は1995年に気象予報士を取得しましたが、その後培った経験や知識を交えながら、よりためになる気象情報を発信していきたいと思います。災害につながるような荒天情報はもちろん、桜や紅葉など、レジャーに関わる情報もお伝えしたいと思っています。

杉江勇次の最近の記事