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新たにダブル熱帯低気圧が発生する予想、週末にかけての動向に十分注意

杉江勇次気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
雲の様子(ウェザーマップ)

熱帯擾乱(ねったいじょうらん)が西日本へ北上?

雨や風の予想(ウェザーマップ)
雨や風の予想(ウェザーマップ)

日本の南海上が大変騒がしくなっています。

まずタイトル画像①の赤丸内には、紀伊半島沖まで北上してきた熱帯低気圧がありましたが、その後、循環が不明瞭となり、きょう26日(火)午前9時に天気図上からは姿が消えました。

ところが、熱帯低気圧とともに北上してきた際立った暖湿流は東日本を中心に広がっているため、あす27日(水)にかけても、東海や関東甲信を中心に、雷を伴った非常に激しい雨に警戒が必要です。

一方、気象庁の予想図にはないのですが、タイトル画像②の赤丸内で、今後循環が明瞭となる計算があり、上図にも示した通り、あす27日(水)にかけて、四国から九州付近へ北上してくる見込みです。このため、西日本でも太平洋側を中心に、局地的な激しい雨が降りやすい状況が予想されます。

このように関東以西では総じて不安定となりやすい状況のため、晴れ間があっても急な大雨に十分ご用心下さい。

そしてこれだけでは終わらず、今後新たにダブル熱帯低気圧が発生し、週末にかけての日本付近の天気に大きな影響が及ぶ可能性が出ています。

ダブル熱帯低気圧が発生へ

予想天気図(気象庁発表に筆者加工あり)
予想天気図(気象庁発表に筆者加工あり)

タイトル画像にある③と④の赤丸内にある雲の塊は、それぞれ④の雲域があす27日(水)午前9時までに、③の雲域があさって28日(木)午前9時までに、ともに熱帯低気圧に変わる予想で、ダブル熱帯低気圧の発生となりそうです。

太平洋高気圧の縁辺を北上しつつ、影響し合う可能性も

ダブル熱帯低気圧の予想(ウェザーマップ)
ダブル熱帯低気圧の予想(ウェザーマップ)

発生が予想されるダブル熱帯低気圧のうち、右側(タイトル画像の④)の熱帯低気圧は、日本付近に張り出す太平洋高気圧の縁辺に沿って北上し、週末には九州の南海上付近に到達する計算です。

一方、沖縄の南付近に発生する左側(タイトル画像の③)の熱帯低気圧は、沖縄付近をウロウロとする計算で、週末にかけて、ダブル熱帯低気圧はかなり近い位置に接近しあう可能性があります。

こうなると相互に干渉しあい、ともに引っ張り合うなどの複雑な動きをする可能性が出てくるため、これらの週末以降の動向に関しては、不確実性が非常に大きく、どちらがどう動くのか、とても予想が難しくなっています。

また海水温が30度前後あり、台風が発生する海水温の場としては申し分ないため、ダブル熱帯低気圧がともに台風の勢力になることも否定できず、西日本や沖縄を中心に、大きな影響が出るおそれもあります。

週末にかけて、西日本ほど激しい雨が降りやすい

10日間予報(ウェザーマップ)
10日間予報(ウェザーマップ)

ウェザーマップ発表の10日間予報では、熱帯低気圧(あるいは台風?)の発生や北上の予想を反映して、南西諸島や西日本の太平洋側を中心に、雨予報が一気に増えてきました。

まだ熱帯低気圧の動向がかなり不確実な状況ではありますが、最悪は週末から週明けにかけて、長丁場の大きな影響も考えられますので、最新情報に十分ご注意下さい。

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

人の生活と気象情報というのは切っても切れない関係にあると思います。特に近年は突発的な大雨が増えるなど、気象情報の重要性が更に増してきているのではないでしょうか? 私は1995年に気象予報士を取得しましたが、その後培った経験や知識を交えながら、よりためになる気象情報を発信していきたいと思います。災害につながるような荒天情報はもちろん、桜や紅葉など、レジャーに関わる情報もお伝えしたいと思っています。

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