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九州南部の梅雨入りが早いと関東甲信の梅雨は? その気になる傾向

杉江勇次気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
雲の様子(ウェザーマップ)

九州南部と関東甲信の梅雨

九州南部と関東甲信の梅雨(青色は平年より早い、赤色は平年より遅い、筆者作成)
九州南部と関東甲信の梅雨(青色は平年より早い、赤色は平年より遅い、筆者作成)

きのう5月11日(火)、九州南部で統計史上2番目に早い梅雨入りの発表がありました。(これは速報値であり、後日、実際の天候経過を考慮した検討を行い、変更となる場合があります。)

タイトル画像をみると、日本の南海上に広がっている太平洋高気圧の晴天域が拡大したため、梅雨前線が本州南岸付近まで押し上げられている状態です。

これから来週にかけても状況はあまり変わらず、梅雨前線は本州付近に位置することが多くなる見込みで、九州南部以外の梅雨入りも記録的に早くなる可能性があります。

では関東甲信の梅雨はどうなるのでしょうか?

九州南部が記録的に早く梅雨入りをした年の関東甲信との梅雨の関係を統計的にみてみます。あくまでも気圧配置などは考えずにデータ上での関連性をみるということでご承知おき下さい。

まず上図は九州南部の梅雨入りを早い方から順位付けしたものです。(1951年~2020年)青色は平年より早く、赤色は平年より遅いことをあらわしています。

九州南部の梅雨明けは遅い傾向

まず九州南部ですが、記録的に早く梅雨入りをした年の梅雨明けをみてみると、赤色優勢で、平年より梅雨明けが遅くなる年が多く、梅雨入りが早いからと言って梅雨明けも早いとは限らず、むしろ逆の傾向となっています。

つまり梅雨入りが早いとそのまま長梅雨になることが多く、1993年は大冷夏の年で、梅雨明けすら確定できませんでした。

関東甲信も梅雨入りは早く、梅雨明けは遅い傾向

関東甲信に関してみてみると、比較的九州南部と似ている傾向となっています。

まず梅雨入りですが、青色優勢で、九州南部の梅雨入りが早いと関東甲信の梅雨入りも早い傾向があります。5月中に梅雨入りしたことも2度ありました。

一方、梅雨明けはというと、2001年を除き赤一色で、遅くなる傾向が鮮明となっています。つまり九州南部と同様に、梅雨入りが早くても梅雨明けが遅い長梅雨傾向がみて取れるということです。

これはあくまでも気圧配置などは考えずに、過去の統計だけから推察したものですが、比較的はっきりとした傾向が出ていますので、興味深いところです。

6月は梅雨前線が活発な予想

6月の降水量予想(気象庁発表、ウェザーマップ提供)
6月の降水量予想(気象庁発表、ウェザーマップ提供)

気象庁が先月23日に発表した3か月予報によると、6月の降水量は関東から九州にかけて平年並みか多い予想となっており、梅雨入りが早くなってもおかしくないような予想となっています。(気象庁は梅雨入り時期の予想はしていません。)

つまり上述した過去の傾向と似ているととらえることも出来ます。

7月は梅雨前線が早めに北上?

7月の降水量予想(気象庁発表、ウェザーマップ提供)
7月の降水量予想(気象庁発表、ウェザーマップ提供)

一方、7月の予報をみると、北日本や北陸で平年並みか多い予想の一方で、関東以西では平年並みかどちらかと言えば少ない傾向となっており、これは平年より早めに梅雨前線が北上し、関東以西の梅雨明けが早めになることもあり得る予報と言えます。(気象庁は梅雨明けの予想はしていません。)

以上のように梅雨入りが早まることに関しては、過去の統計と気象庁の予想で一致しているような感じがありますが、梅雨明けに関しては、やや一致していない印象があります。

今年は九州南部、沖縄、奄美以外も、梅雨入り、雨の季節の到来が早いと思われますので、雨への備えは早めに行うようになさって下さい。

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

人の生活と気象情報というのは切っても切れない関係にあると思います。特に近年は突発的な大雨が増えるなど、気象情報の重要性が更に増してきているのではないでしょうか? 私は1995年に気象予報士を取得しましたが、その後培った経験や知識を交えながら、よりためになる気象情報を発信していきたいと思います。災害につながるような荒天情報はもちろん、桜や紅葉など、レジャーに関わる情報もお伝えしたいと思っています。

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