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”ブーメラン台風14号”?伊豆諸島は特に土砂災害に厳重警戒を

杉江勇次気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
台風14号と秋雨前線の雲(ウェザーマップ)

”ブーメラン台風14号”?

台風14号の予報円(ウェザーマップ)
台風14号の予報円(ウェザーマップ)

最新の台風情報(気象庁発表)

台風14号はまるで秋台風とは思えないようなゆっくりとした速度で紀伊半島の南海上を東寄りに進んでいます。

きょう10日(土)午前9時現在、潮岬の南、約170キロの海上にあり、中心気圧985hPaとかなり衰弱してきましたが、まだ暴風域を伴う台風で、その暴風域に入っている所はありませんが、東海から四国にかけて強風域に入っており、沿岸部を中心に強い風が吹いています。

そしてこの台風の特徴は夏台風のようなスローペースで進んでいるということもありますが、なんと言っても今後のコース取りに特徴があり、昨日まで予想されていた偏西風に乗って日本の東へ進むコースではなくなり、偏西風には乗らずに太平洋高気圧の縁辺を再び南下していくコース取りに変わり、真夏ならまだしも、10月にもなったこの時期にまるでブーメランのように日本の南へ南下していくような台風というのはほとんど見たことがありません。

今年の台風は10号、12号とその勢力やコース予想が非常に難しかったのですが、今回の台風14号はそれにも増して、最後の最後まで進路や勢力のつかめない台風となっています。

最新の予報円では、もう関東などへ近付くおそれはほとんどないものの、ゆっくりとした速さで伊豆諸島の南を通りますので、伊豆諸島では特に雨の降り方に厳重な警戒が必要です。

72時間の積算雨量は400ミリ超も

72時間の積算雨量(ウェザーマップ)
72時間の積算雨量(ウェザーマップ)

台風14号の北上により活発となった秋雨前線の影響で、おととい8日(木)頃から長時間の雨に見舞われており、きょう10日(土)午前8時までの72時間雨量は、八丈島497.0ミリ、和歌山県色川469.5ミリ、三重県尾鷲439.0ミリ、八丈島空港424.0ミリと400ミリ以上に達しています。

また徳島県や静岡県でも300ミリを超え、その他、関東から四国にかけての広い範囲で100ミリ以上に達しており、東京都心でも115.5ミリと、だらだらと本降りの雨が降り続く大雨となっています。

この大雨の影響で、関東から近畿を中心に土砂災害の危険度が上昇している所も多く、土砂災害警戒情報の出されている所もあります。

秋雨前線と台風本体の雨雲が一体化

雨の様子(ウェザーマップ)
雨の様子(ウェザーマップ)

タイトル画像の雲の様子をみると、台風14号と秋雨前線の雨雲がつらなるように一体化してきている様子がうかがえ、きょう10日(土)午前9時現在の雨の様子をみても、台風14号と秋雨前線の区別がつかないような感じで、関東から近畿、あるいは伊豆諸島で広く本降りの雨が降っており、伊豆諸島では激しく降っている所もあります。

伊豆諸島は危険度急上昇のおそれ

雨雲の予想(ウェザーマップ)
雨雲の予想(ウェザーマップ)
雨雲の予想(ウェザーマップ)
雨雲の予想(ウェザーマップ)

今後の雨雲の予想をみると、伊豆諸島付近には、台風に伴う暖かく湿った空気と北からの冷気が衝突する秋雨前線の活発な雨雲がかかり続け、さらに今夜遅くからあす11日(日)朝にかけて、台風14号の本体の活発な雨雲が追い打ちをかけるように大雨を降らせる予想です。

すでに八丈島を中心に、伊豆諸島は多いところで、300ミリから500ミリ以上の大雨となっており、今後、活発な雨雲のかかり方次第では、さらにこれと同じくらいの大雨が降るおそれがあります。

特に台風本体の雨雲が到達する今夜以降、暗くなってから、土砂災害などの危険度が急上昇するおそれがありますので、早め早めの避難行動を心がけるようにして頂きたいと思います。

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

人の生活と気象情報というのは切っても切れない関係にあると思います。特に近年は突発的な大雨が増えるなど、気象情報の重要性が更に増してきているのではないでしょうか? 私は1995年に気象予報士を取得しましたが、その後培った経験や知識を交えながら、よりためになる気象情報を発信していきたいと思います。災害につながるような荒天情報はもちろん、桜や紅葉など、レジャーに関わる情報もお伝えしたいと思っています。

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