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”台風のたまごのたまご”から熱帯低気圧が発生、今後台風1号に発達するか?

杉江勇次気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
雲の様子(ウェザーマップ)

低圧部から熱帯低気圧が発生

天気図の変化(気象庁発表資料に加工)
天気図の変化(気象庁発表資料に加工)

4日前の5月6日(水)午前9時、日本のはるか南で”台風のたまごのたまご”でもある低圧部が発生しました。

低圧部とは周囲より気圧は低いものの、中心付近の循環がハッキリしない所(不明瞭な所)で、この循環がハッキリ分かるようになる(明瞭になる)と熱帯低気圧に名前が変わります。

そしてこの熱帯低気圧は台風のたまごと呼ばれていますので、低圧部はいわば”台風のたまごのたまご”とも呼ぶべきものですが、きょうになってこの低圧部の中心付近の循環が解析されるようになり、きょう午前9時、低圧部は熱帯低気圧に名前が変わりました。つまり台風のたまごの発生です。

天気図をみてみるときょう午前3時の時点でL(低圧部)だったものが、午前9時に中心付近の循環が認められたことを示す×印が付いており、名称も熱帯低気圧を示すTD(トロピカル・デプレッション)に変わりました。

海面水温は十分に高い

5月9日の海面水温(ウェザーマップ)
5月9日の海面水温(ウェザーマップ)

熱帯低気圧が台風へ発達するかどうかのポイントは様々ありますが、最大のポイントは海面水温と言え、26℃~27℃以上の所で発生する可能性がありますが、さらに28℃以上になるとその可能性は大きく上昇すると言われています。

今回、熱帯低気圧が発生したあたりの海面水温は29℃以上あり、さらに今後進むであろうフィリピン付近にかけては30℃前後もある状態で、海面水温の面からすれば、台風が発生してもおかしくない、むしろその可能性が高いのではないかとも思われます。

ただフィリピン付近まで到達してしまうと陸域では水蒸気の補給が少ないため、周辺の海水温が高くても、発達は抑えられることにもなります。

なおこの擾乱(じょうらん)がフィリピン付近を北上したあと、今度の週末頃、南西諸島付近へ到達する計算もあり、台風へ発達しない場合でも今後の推移に注意が必要かもしれません。

あさって12日(火)にかけて、熱帯低気圧で北西進予想

予想天気図(気象庁発表資料に加工)
予想天気図(気象庁発表資料に加工)

気象庁がきょう夕方に発表した予想天気図によると、あす11日(月)からあさって12日(火)午前9時にかけて、熱帯低気圧のままフィリピン方面に向かって北西進する予想です。

中心付近の気圧をみても、1008hPaのままなので、今のところ公式見解としては、あまり発達することなく、しばらく北西方向へゆっくり進むとみているようです。

(以上、17時追記)

台風1号の発生が遅れると?

その年初めて発生する台風1号の発生日は平均すると3月頃となります。

もし5月中旬以降(あす以降)へずれ込めば、10年に1回程度の遅い発生ということになりますが、台風1号の発生が遅れても、夏場に数多く発生し、上陸することもあるため、油断は出来ません。

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

人の生活と気象情報というのは切っても切れない関係にあると思います。特に近年は突発的な大雨が増えるなど、気象情報の重要性が更に増してきているのではないでしょうか? 私は1995年に気象予報士を取得しましたが、その後培った経験や知識を交えながら、よりためになる気象情報を発信していきたいと思います。災害につながるような荒天情報はもちろん、桜や紅葉など、レジャーに関わる情報もお伝えしたいと思っています。

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