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9月に向け、南の海上には台風の卵が多数発生へ

杉江勇次気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
熱帯擾乱の雲(ウェザーマップ)

8月までの台風発生数は12個

台風12号の軌跡(気象庁)
台風12号の軌跡(気象庁)

今週火曜日(27日)に発生した台風12号はフィリピンを横切ったあと、南シナ海をまっすぐ西進し、きのう(30日)15時にタイで熱帯低気圧に変わりました。

今年8月までに発生した台風はこの12号までの12個で、平年の発生数13.6個よりもわずかに少ない個数となっています。

ちなみに去年は8月までに21個も発生していたので、去年と比べると今のところ半数程度の発生数です。

ところがこのあと続々と発生してもおかしくない状況となりそうです。

台風の卵が多数発生へ

天気図の変化(気象庁発表資料より抜粋加工)
天気図の変化(気象庁発表資料より抜粋加工)

タイトル画像にもあるとおり、現在、日本の南の太平洋上には熱帯低気圧と低圧部が発生しています。

このうち熱帯低気圧は実況天気図中の(1)TDにあたり、これはもともと経度180度より東側にある西経域から東経域に進んできたもので、まさに台風の卵です。

一方低圧部は実況天気図中の(2)Lにあたり、これは周囲より気圧が低いものの、まだ中心がまとまっていないもので、いわば熱帯低気圧の卵ですから、台風の卵の卵とでも呼べるものです。

そしてあす9月1日午後9時の予想天気図をみると、(2)Lは熱帯低気圧TDに変わり、さらに南シナ海には新たな熱帯低気圧(3)TDが、また日本の南にも新たな低圧部(4)Lが発生する予想です。

可能性ということで言うならば、これら全てが台風に変わることも考えられ、まさに台風発生ラッシュの可能性も秘めた状態で9月がスタートすることになりそうです。

熱帯低気圧(1)の発達・進路に注意か?

9月7日の予想図(ウェザーマップ)
9月7日の予想図(ウェザーマップ)

あくまでも現在の予想ではありますが、4つの熱帯擾乱の内、最も大きな影響が出る可能性があるものが熱帯低気圧(1)という計算が多くなっています。

今ある位置は東経180度近い日本列島からははるかに離れた所ですが、今後西寄りに進みながら発達し、1週間後の来週末の土曜日(7日)には台風の勢力で小笠原の南方海上に進めている計算が多くなっています。

また熱帯低気圧(2)をその前に沖縄方面へ進めている計算も散見されます。

今後の熱帯低気圧や低圧部の振る舞いに要注目です。

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

人の生活と気象情報というのは切っても切れない関係にあると思います。特に近年は突発的な大雨が増えるなど、気象情報の重要性が更に増してきているのではないでしょうか? 私は1995年に気象予報士を取得しましたが、その後培った経験や知識を交えながら、よりためになる気象情報を発信していきたいと思います。災害につながるような荒天情報はもちろん、桜や紅葉など、レジャーに関わる情報もお伝えしたいと思っています。

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