Yahoo!ニュース

【台風12号】異例中の異例、上陸197個目にして初のコースか?

杉江勇次気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
台風12号の雲の様子(ウェザーマップ)

上陸197個目にして初、東海から九州へ西進か

台風12号の予報円(ウェザーマップ)
台風12号の予報円(ウェザーマップ)

最新の台風情報(気象庁)

台風12号は強い勢力に発達し、小笠原近海を北東へ進んでいます。

今後は北寄りに進みながら更に発達し、最大瞬間風速は60メートルに達する予想です。またあす土曜日になると、上空の寒冷渦に引っ張られるように速度を上げながら急激に西寄りに進む見込みで、あす夜には強い勢力を保ったまま紀伊半島付近に東海上から接近し、上陸する恐れがあります。

その後は日曜日から月曜日にかけてやや速度を落としながら東海から九州にかけて西進する予想です。

台風の統計がある1951年から2017年までで、上陸した台風は合計196個(年間約2.93個)ありますが、東海から九州へ向かって陸地を移動していくような台風は一つもありません。

ですから、予想通りに西日本を西進するようなことになると上陸197個目にして、初のコースということになります。

これまでに九州から東海へ進むことは非常に多くあり、防災上、どのような大雨や暴風となるか、ある程度の経験則が成り立つこととなりますが、今回のように非常にレアケースで、しかも台風の勢力が強いとなると、果たしてどのようなことが起こるのか?予想が困難なところがあります。

あえて今回のポイントをいくつか挙げるならば、湿った東風が吹きつける関東甲信や東海の山沿いでは記録的な大雨となる恐れがあること。

強い勢力のまま上陸が予想される紀伊半島周辺では、これまでにないような風向での記録的な暴風が吹く恐れがあること。

また土曜日は満月で大潮の時期となるため、中心が通り、しかも東風が吹きつける東海の沿岸部では顕著な高潮が発生する恐れがあること。

さらに西日本豪雨の被災地を活発な雨雲が前回とは逆に東から西へ移動していくため、前回と同じ場所はもちろん、異なるような場所でも大雨となる心配があること。

もちろんこれ以外にも思いもしなかったような気象災害が発生する恐れがあります。

いずれにしても土曜日は東日本を中心に、日曜日は西日本を中心に、大雨や暴風、高波や高潮などに厳重な警戒が必要で、早め早めの避難が必要となるでしょう。

平成30年7月豪雨による大雨被害に対して、緊急災害支援募金(Yahoo!基金)を行っていますので、ご協力をお願いいたします。

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

人の生活と気象情報というのは切っても切れない関係にあると思います。特に近年は突発的な大雨が増えるなど、気象情報の重要性が更に増してきているのではないでしょうか? 私は1995年に気象予報士を取得しましたが、その後培った経験や知識を交えながら、よりためになる気象情報を発信していきたいと思います。災害につながるような荒天情報はもちろん、桜や紅葉など、レジャーに関わる情報もお伝えしたいと思っています。

杉江勇次の最近の記事