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未曽有の豪雨一転、盛夏へ。猛暑及び台風8号にも警戒。

杉江勇次気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
台風8号と梅雨前線の雲(ウェザーマップ)

予想できなかった未曽有の豪雨

今回の豪雨で被災された方々に心よりお見舞いを申し上げます。

振り返れば、先々週の6月29日に日本の東から太平洋高気圧が勢力を強め、関東甲信地方で統計史上最も早い梅雨明けが発表されました。

その後西日本にかけても梅雨明けが近いのではないかと思われましたが、その時発生していた台風7号が先週の初めに九州北部へ接近する予想に変わる頃から事態が一変し、梅雨前線が日本付近へ南下する予想に変わってきたのです。

しかも日が経つにつれてとんでもない雨量の計算値がはじき出されました。

これを受けて、気象庁も緊急の記者会見を行いましたが、そもそもなぜ少雨予想が豪雨予想へと一変し、特別警報が広範囲に及ぶような事態に陥ったのか?

それは台風7号がきっかけを作ったのか?あるいは太平洋高気圧の勢力や気圧の谷の予想がうまくいかなかったのか?など考えなければならないことが多くありますが、今後、気象庁からも言及がなされるかもしれません。

1000ミリ超え、平年の10倍以上も

10日間の降水量(気象庁)
10日間の降水量(気象庁)

豪雨となった先週後半を含む10日間の降水量をご覧ください。

北海道でも200ミリを超え、大きな被害の発生した所がありますが、何といっても岐阜県から九州にかけての豪雨が際立っています。

山沿いや内陸を中心に400ミリ~600ミリ以上の所が目立ち、特に岐阜県、徳島県、高知県では1000ミリ以上の所もありました。

岐阜県ひるがの1185ミリ、長滝1152ミリ、樽見1116ミリ。

高知県本山1691.5ミリ、大栃1342.5ミリなど。

徳島県木頭1365ミリ。

この10日間の雨量としては平年の5倍~10倍以上の所も多く、最も多い高知県本山では平年の約14倍で、これは5月~9月にかけての5か月分の雨が降った計算です。

豪雨一転、盛夏へ

予想天気図(気象庁HPより、加工了承済み)
予想天気図(気象庁HPより、加工了承済み)

未曽有の豪雨をもたらした梅雨前線は太平洋高気圧の強まりとともに北へ押し上げられ、今後、関東~九州にかけて盛夏が続きます。

豪雨の被災地では水道が出なかったり、電気が止まっていたりなど、ライフラインにも大きな影響が出ていますが、くれぐれも体調管理や衛生管理には注意をなさって下さい。

また晴れるとは言え、これまでになかったような大雨が広範囲で降りましたので、引き続き、土砂崩れや河川の増水、氾濫に伴う災害、あるいは2次災害などにも、十分な警戒が必要です。

一方、押し上げられた梅雨前線の影響で、北日本では雨が降りやすく、激しく降る所もあるでしょう。こちらはまだまだ雨に対する注意、警戒が必要です。

そして、台風8号が沖縄を狙っています。

台風8号は先島諸島を直撃へ

台風8号予報円(ウェザーマップ)
台風8号予報円(ウェザーマップ)

最新の台風情報(気象庁)

猛烈な強さの台風8号が日本の南を西北西に加速しながら進んでいます。

当初は沖縄本島付近を指向するコース予想でしたが、太平洋高気圧が強まる影響で少し南寄りに変わり、あす10日の午後にも宮古島や石垣島にかなり接近し、直撃するようなコース予想となっています。

現在の猛烈な勢力のまま先島諸島へ接近すると台風特別警報も視野に入るような強さですが、今後はやや弱まり、非常に強い勢力での接近が見込まれています。

とは言え、最大瞬間風速は60メートルの予想で、これはトラックが横転したり、電柱が傾いたり、倒壊してしまうようなレベルの烈風です。

先島諸島は暴風の他、高波や大雨、高潮などにも厳重な警戒が必要です。

また台風が予想以上に勢力を保ったまま接近すると上記以上の風も考えられますので、最新の情報で確認するようにして下さい。

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

人の生活と気象情報というのは切っても切れない関係にあると思います。特に近年は突発的な大雨が増えるなど、気象情報の重要性が更に増してきているのではないでしょうか? 私は1995年に気象予報士を取得しましたが、その後培った経験や知識を交えながら、よりためになる気象情報を発信していきたいと思います。災害につながるような荒天情報はもちろん、桜や紅葉など、レジャーに関わる情報もお伝えしたいと思っています。

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