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東北地方に線状降水帯が発生する恐れ。大雨に厳重な警戒を。

杉江勇次気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
運転も危険なほどの大雨(写真:アフロ)

暖湿気と涼気の衝突は危険度大

23日(日)午前9時の予想天気図。
23日(日)午前9時の予想天気図。

昨夜からきょう(土)にかけて活発な前線が北海道~東北地方へ南下し、秋田県や青森県を中心に大雨となっています

浸水や冠水、交通機関への影響も出ていますが、きょう夕方の段階でも東北には活発な雨雲が連なっていて、局地的に非常に激しい雨が降り続いています。

この活発な前線(梅雨前線)はあすにかけても東北付近に停滞する見込みで、しかも一段と活動が活発となる恐れがあります。

なぜなら梅雨前線の北側から相対的な涼気(乾いた乾燥した空気)が流れこんでくるためで、前線の南側にある暖湿気と激しく衝突するため、雨雲が上空高く発達する恐れがあるからです。

今回の予想のように北から涼気を伴って南下してくる前線が下げ止まってしまう場合、過去の例からみても、特に危険度が高く、時に線状降水帯と呼ばれるような活発な積乱雲を次々と発生されることがあります。

7月5日に九州北部や中国地方で起こった集中豪雨も北から涼気(乾いた空気)を伴って南下した梅雨前線が原因でした。

線状降水帯の発生に十分警戒を

23日(日)の雨雲予想。
23日(日)の雨雲予想。

あす(日)の朝から夕方にかけての雨雲の予想をみると、東北付近で集中的に雨雲が発生したまま同じような場所にとどまる様子が伺えます。

この雨雲が予想以上に発達し、東西に横たわるような形で停滞してしまうと、いわゆる線状降水帯による非常に危険度の高い大雨となることも想定内です。

気象庁がきょう夕方に発表した全般気象情報では、1時間に最大60ミリの非常に激しい雨を伴い、24時間の最大雨量は180ミリとなっています。

ところが同じような場所で雨雲が発達し続けた場合、この数値をはるかに上回るような豪雨も予想されます。

今月上旬、特別警報が発表された際の予想雨量は24時間で最大100ミリの予想でしたが、ふたを開けてみれば、最大で300ミリ~1000ミリ近いような記録的な豪雨に見舞われました。

このように線状降水帯が発生し、とどまってしまうような場合は、予想をはるかに上回る大雨に見舞われ、大きな災害にむすびついてしまっています。

今も雨の降り続く東北では、あす(日)にかけての雨の降り方に厳重な警戒、あるいは最大級の警戒が必要かもしれません。

自治体からの避難情報も重要ですが、避難情報が出る前の早め早めの行動も心がけて頂きたいと思います。

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

人の生活と気象情報というのは切っても切れない関係にあると思います。特に近年は突発的な大雨が増えるなど、気象情報の重要性が更に増してきているのではないでしょうか? 私は1995年に気象予報士を取得しましたが、その後培った経験や知識を交えながら、よりためになる気象情報を発信していきたいと思います。災害につながるような荒天情報はもちろん、桜や紅葉など、レジャーに関わる情報もお伝えしたいと思っています。

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