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秋の異変?記録的多雨から記録的少雨へ

杉江勇次気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
9月の記録的多雨から一転、10月は記録的な少雨に。(写真:アフロ)

今年の夏は猛暑から一転、一気に秋の空気に入れ替わるなど、過去にないような大失速の8月となりました。そして、今度は9月から10月にかけて過去にないような記録的な多雨から記録的な少雨へと一転しています。この極端な雨の降り方により、農作物などにも影響が出ている可能性もありそうです。

9月多雨から10月少雨へ

9月の降水量の平年比。東~北日本の太平洋側で雨が多い。(気象庁HP)
9月の降水量の平年比。東~北日本の太平洋側で雨が多い。(気象庁HP)
10月の降水量の平年比。太平洋側を中心に雨が少ない。(気象庁HP)
10月の降水量の平年比。太平洋側を中心に雨が少ない。(気象庁HP)

今年の9月は台風17号や18号の影響で南から湿った空気が長時間にわたり流れ込んだため、9日~11日にかけて、北日本や東日本の太平洋側を中心に記録的な大雨となりました(平成27年9月関東・東北豪雨)。

台風以外にも停滞する秋雨前線や低気圧の度重なる通過に伴い雨が降り、多くの所で平年よりもかなり多い降水量となっています。

一方、10月に入ると、台風23号や発達する低気圧の影響で、北日本では平年より多くの雨が降りましたが、低気圧や前線の影響をあまり受けていない東日本や西日本の太平洋側では顕著な少雨となっており、平年比20%未満の所も目立っている状況です。

なかでも、関東や東北の太平洋側では、9月の記録的な多雨から10月の記録的な少雨へと非常に極端な雨の降り方となっています。

東京を例にとってみましょう。

東京は過去に例がないような多雨から少雨へ

9月が多雨の年は10月も多雨が多い。今年は異なる傾向。
9月が多雨の年は10月も多雨が多い。今年は異なる傾向。

東京の9月の降水量は57年ぶりに500ミリを超え、1875年の観測開始以来、9月としては3番目に多い降水量となりました。ところが10月の降水量はわずか57.0ミリと一転して少なくなり、今度は少ない方から観測史上5番目の記録となっています。

表中は東京の9月の降水量が400ミリを超えるような多雨の年の10月の降水量を調べたものですが、9月が多雨の年はそのまま10月も多雨傾向の続く年が多く、今年のように一気に少雨傾向となる年は珍しいと言えます。

ちなみに東京は10月8日に早々と乾燥注意報が発表され、これは平成に入ってから秋以降では最も早い記録となりました。また、10月18日~31日まで、2週間にわたり1ミリ以上の雨が降っていません。

11月は再び多雨傾向に?

11月は太平洋側を中心に再び多雨傾向となる予想。(気象庁HP)
11月は太平洋側を中心に再び多雨傾向となる予想。(気象庁HP)

気象庁から発表されている最新の1か月予報によると、11月は10月の少雨傾向から一転し、再び太平洋側を中心に雨が多くなるのではないかと予想されています。

これは低気圧や前線が再び日本付近を通過しやすくなるためと予想されているからですが、現在発生しているエルニーニョ現象などの影響により、南から暖気の流れ込みが強くなった場合などは、11月とは言え、大雨となることも考えられるため、注意が必要と言えます。

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

人の生活と気象情報というのは切っても切れない関係にあると思います。特に近年は突発的な大雨が増えるなど、気象情報の重要性が更に増してきているのではないでしょうか? 私は1995年に気象予報士を取得しましたが、その後培った経験や知識を交えながら、よりためになる気象情報を発信していきたいと思います。災害につながるような荒天情報はもちろん、桜や紅葉など、レジャーに関わる情報もお伝えしたいと思っています。

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