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【シンプル比較】子ども・若者政策、教育医療無償化、若者・子育て世代の投票どうする? #参院選2022

末冨芳日本大学教授・こども家庭庁こども家庭審議会部会委員
筆者作成

7月10日投開票の参議院選挙、若者・子育て世代はどの政党・候補者に投票すればよいのでしょうか?

子ども・若者政策や、出産・教育・医療の無償化、結婚するカップルへの支援など

日本の今とこれからを支える世代に主要政党が、どれだけ本気の公約を打ち出しているのでしょうか。

この記事では、若い世代も投票の判断がしやすいよう、参議院選挙における、子ども政策・若者政策、教育・医療無償化などの主要政策についてのシンプルな公約比較をします。

※詳細な分析は、7月にずれ込む予定です。下記の信頼性の高い実施主体によって行われた調査分析サイトも参考になさってください。

すでに期日前投票もはじまっています、投票の参考にしていただければ幸いです。

※注意事項1:教育・子ども分野の研究者であり、子ども・若者政策の最前線でアクティビストとして活動してきた私の分析・観察に基づくものであり、投票はみなさんの判断を大切になさってください。

※注意事項2:各政党のマニフェスト・政策集および下記サイトの分析も参考にしています。いずれも信頼性の高い実施主体によって行われた調査分析であり、参考になります。

・JAPAN CHOICE,政策を比較する

・早稲田大学マニフェスト研究会,2022参院選マニフェストできばえチェック,公約比較

・にっぽん子ども・子育て応援団,2022参議院選挙政党アンケート回答要約一覧

はじめに:まずみなさんに質問です。

―あなたは今の日本の政治で良いと思っていますか?

〇(良いと思っている)

不安や不満がないわけではないが、自分の一票が無駄になったり大きな変化が起きるのはこわい→安定志向

×(良いと思っていない)

不安や不満はちょっと(割と)ある、日本の政治は良くなってほしい→変革志向

以降のこの記事の流れです。

1.今回の主要政党の公約の特徴を整理します

2.安定志向のみなさんへ=与党投票をどうする?

3.変革志向のみなさんへ=野党はどう選ぶ?

※いきなり変革志向や安定志向と言われても、という方も多いと思います。

 迷う場合には、両方お読みいだけると、投票の一助になるかもしれません。

なお、この記事に先立って、子ども政策・若者政策を推進できる実績・実力がある全国比例区8名、選挙区16名の候補リストも公開しています(東京選挙区は近日公開)。

あわせて投票のご参考にしてください。

※末冨芳,【緊急公開】#参院選2022 #こども応援団 #若者応援団 はこの候補者!【超党派】,2022年6月23日

また、落選候補に投票すると自分の票が無駄になる(死に票になる)と思い込んでいる方も一定数います。

ビッグデータ解析があたりまえの現代社会では、落選候補への投票も、意味があるデータとして分析され、政党・政治家の行動にインパクトを与えることができるのです。

※末冨芳,「死に票」などない!子育て世代・若者こそ投票に行こう,2021年11月30日

1.今回の主要政党の公約の特徴を整理します

―子ども・若者支援に所得制限を設けるかどうか

―財源に具体性のあるマニフェスト公約はあるか?

こども家庭庁・こども基本法案が成立した今国会は「子ども国会」でした。

その延長戦である参議院選挙では2つの軸で、主要政党公約を比較しています。

縦軸は、児童手当、出産・教育の無償化に「所得制限を設けるかどうか」です。

横軸は、主要先進国最低の子ども・若者への政府予算拡充の財源を明記しているかどうか、です。

筆者作成
筆者作成

自民党は、子ども・若者政策や出産・教育・医療の無償化に限定すれば、今回の選挙では投票をためらう、と言ってもいいでしょう。

選挙にあわせ、低所得層や準低所得層の無償化、所得連動型奨学金などの提案を打ち出していますが、日本学生支援機構のローン(貸与型奨学金)すら親の所得で借りられず苦しむ大学生・大学院生がいる現状が改善できていません。

また子育て世帯から、実質増税(年少扶養控除)をしておきながら、児童手当を所得制限をし、将来的には夫婦合算700万円程度まで児童手当ゼロ(教育の無償化もゼロ)にしようとしている方針を転換したと明言していません。

出産無償化も岸田総理の独自判断で大幅拡充という報道も流れましたが、具体的な金額もなく、低所得層や準低所得層だけと所得制限もされるリスクも高いです。

大半の共働きカップルが排除されないか心配な状況です。

もちろん、自民党を「こどもまんなか」に進化させようとしている、国会議員もいます。

しかし、今回の参議院選挙では、自見はなこ、三原じゅん子、むこう山じゅん(敬称略)、などの、ごく少数の女性候補者しか、その実績や実力を、専門家として自信をもって評価できないのです。

それに対し、自民党以外の政党(公明党、立憲民主党、国民民主党、日本共産党、維新)はいずれも、

所得制限のない子ども・若者政策の充実

出産・医療・教育(保育・給食・大学・専修学校)の無償化の拡充もしくは全面無償化

を全面に打ち出しています。

また立憲民主・国民・共産の三党は、財源に関する具体的なプランを提案しています。

野党候補に投票する際のポイントは3.にて述べます。

それではここからは、冒頭の質問にもとづき、読者のみなさんがどのような政党に投票するべきかを、教育政策・こども政策の研究者であり、それらを取り巻く政治の実態にも詳しい研究者のひとりとして解説していきます。

2.安定志向のみなさんへ=与党投票をどうする?

―現時点での自民党への投票は、子ども・若者は「国ガチャ犠牲者」を意味する

―「こどもまんなか」の推進力となってきた公明党への投票効果は高い

(1)現時点での自民党への投票は、子ども・若者は「国ガチャ犠牲者」を意味する

安定志向の、若者や子育て世代のみなさんが知っておいてほしいのは、

自民党への投票は、おじさん(中高年男性)・高齢者優遇政策を推進することになる、ということです。

若い世代やママパパが自民党に投票することはこれまで通り、若者や子育て世代が国ガチャの犠牲になる確率を高める、ということです。

「親ガチャ」という言葉が流行語になってしまう日本ですが、それは家族(親)に子育て・教育費の負担を推しつけ、子育て罰、を課してきた日本国の政治(自民党政治)に責任があるのです。

※詳しくは、末冨芳・桜井啓太『子育て罰』(光文社新書)をご一読ください。

私は「親ガチャ」という言葉を、親に苦しむ当事者以外(とくにジャーナリズム)が使うことは、なんの問題解決にもならず、やめたほうがいいと考えています。

せめて「親ガチャ」という言葉をやめ、「国ガチャ」という言葉を使うほうが、問題の本質をとらえています。

子育て罰、国ガチャを変えるためには、子ども・若者のための予算・財源が必要ですが、財務省主導の岸田内閣では、その具体案を選挙で示せていないのです。

早稲田大学マニフェスト研究会のマニフェストできばえチェックでも、上位項目に子ども・若者のことは入っておらず、岸田総理が「子ども予算倍増」を明言したにも関わらず、それ以外の政策への財源も含め、「財源の裏付けがない」と指摘されています。

大規模な財政出動を伴う政策が多く提示されているが、財政に関する記述はなく、財源の裏付けがない。「あれもこれも」の総花的なマニフェストにえ、政権与党のマニフェストとしては厳しい評価をせざるを得ない。

この状況で自民党の得票を若い世代が伸ばしても、中高年・高齢者まんなか政治は変化しません。

子ども若者財源や政策の充実も、選挙のための口約束で終わる可能性が高くなるのです。

(2)「こどもまんなか」の推進力となってきた公明党への投票効果は高い

安定志向=与党投票したいが、自分の一票を必ず子ども若者のために活かしてほしい、そう考えるみなさんは、公明党への投票効果が高いことを知っておいてご判断ください。

あまり知られていないのでとても残念に思っていますが、自民党が打ち出す、子ども・若者への支援政策は、公明党が目だたないところで強く押して実現したものが大半なのです。

比較表の中では、財源の明記は確かにあいまいなのですが、連立与党である自民党との政策協調の中で、明記できないという事情もあるのです。

教育の無償化、子育て世帯給付金、ひとり親だけでなくふたり親困窮世帯への給付金、若者や子育て世帯を含む大変な人々への住居支援。

一斉休校、ベネッセ委託が引き起こした大学入試騒動、9月入学など、子ども若者が犠牲になってしまう事態にも、連立与党として、敢然と反対してきました。

私の選出した#こども応援団 #若者応援団 リストにも、公明党の以下の候補者が重要候補であると示しました。

子ども政策・若者政策の充実のために、アクティビストとしても活動する私からみると寸暇を惜しんで、子ども若者のために動く政党が公明党なのです。

これらの候補者いなくして、こども政策、若者政策の拡充策は成立しないといってよいほどの実力派ばかりです。

石川ひろたか(公明・大阪)

伊藤たかえ(公明・兵庫)

谷合まさあき(公明・全国比例)

竹谷とし子(公明・東京)

西田まこと(公明・埼玉)

三浦のぶひろ(公明・公明)

3.変革志向のみなさんへ=野党はどう選ぶ?

―立民・国民・共産、弱肉強食ではなく「全ての子ども若者」を重視

―維新は「所得制限しれっと撤回」の吉村知事の釈明が必須!信頼を高めよ!

(1)立憲民主・国民民主・共産

―所得制限のない、手厚い子ども若者支援

―財源確保の具体策も明記

今回の国政選挙でも、立憲民主・国民民主・共産が、所得制限のない、手厚い子ども若者支援を明記しています。

野党苦戦も伝えられています。

しかし主要政党の中で、子ども若者にやさしい #こども応援団 としての役割は、立憲民主・国民民主・共産が、継続的にその中核を担ってきたことは間違いありません。

これら3つの政党の間でどのように投票すれば私も迷います。

子ども・若者にやさしい国にするためには、以下の点を重視してください。

・選挙区選挙→候補者のポスターやHPを見ながら主張が納得できる候補者に投票する

・比例区選挙→#こども応援団 候補者(政党ではなく)に投票する

全国比例区で注目されるのは、共産・国民の現職2候補です。

いずれも、子ども若者政策の拡充の中心的な議員であり、一票を投じるべき価値があるといえる候補です。

田村智子 (共産・全国比例)

矢田わか子(国民・全国比例)

選挙区でも次の候補は、国会議員としての活動の多くを、自ら子ども・若者にふりむけています。

みなさんの一票が活きる候補といえるでしょう

伊藤たかえ(国民・愛知)

宮沢ゆか(立憲・山梨)

森ゆうこ(立憲・新潟)

(2)維新は信頼性向上を!

―「所得制限しれっと撤回」の吉村知事の釈明が必須!

今回、維新は所得制限のない出産・教育の無償化や、出産・学校外教育バウチャーなど、独自性があり政策効果も期待されるマニフェスト・政策を打ち出しています。

しかしながら、早稲田大学マニフェスト研究会の「できばえ評価」と同じく、私も今回参議院選挙の威信のマニフェスト・公約はあまり評価していません。

(政策について)単純化しすぎである。また、6政策が束ねてあるだけで、全体としての理念やビジョンについての記載がない。「政策提言」との関係についての説明もなく、有権者にまじめに政策情報を届けようという意識があるとは思えない。

だからといって、維新の成長をあなどるべきでもないのです。

私が観察するところ、維新という政党の成長は、他の政党では出る杭を打たれて潰される個性ゆたかな議員・候補者のアイディアや能力を活かしているところにあります。

逆に言えば、マニフェストや政策ともに、学校外バウチャーや医療的ケア児支援のスキームなど、維新の有力議員の個性・能力が発揮される部分は、他党にない提案があるのです。

しかし優秀な議員がいない場合には、出来栄えが悪い部分もあり、「一貫性・信頼性を欠く」のです。

加えて、維新共同代表・吉村洋文大阪府知事の「所得制限しれっと撤回」に私は研究者として憤りを感じています。

思えば昨年末、公明党が所得制限のない子育て世帯給付を打ち出したとき、吉村知事は「僕だって30万円もらえる」とSNSでバラマキ批判で大騒ぎし、中間所得層の親子に大メージを与えることになりました。

それが参議選が近づいたとたんに、1万円分のカードを所得制限なく「全てのこども」に配布すると言い出したのです。

こういう人のことを日本語では「変節漢」というのではないでしょうか?

こうした経緯から、「所得制限しれっと撤回」をするようなリーダーが釈明もしない維新という政党全体が信頼性を下げている状況があると私は考えています。

維新が勢いまかせでもなく、他の政党では出る杭を打たれて潰される個性ゆたかな議員・候補者のアイディアや能力を「信頼される国政政党としての実力」につなげるためには、リーダーが説明責任をしっかり果たす必要があります。

「所得制限しれっと撤回」の吉村知事の釈明は、今回選挙で維新という政党が信頼性を高め、来年度の統一地方選挙や次回衆議院選挙・参議院選挙で、成長続けるための前提条件といってよいでしょう。

この国では政党のリーダーは都合が悪いことには謝りません。

だからこそとくに若い世代の国民の政治離れを招いてきたのです。

もしも維新がそうした「謝れない日本の政治リーダー」像のイノベーションに成功すれば、他のすべての政党が怯える事態にすらなるかもしれません。

おわりに:選挙は民主主義のフェス

―今回投票した政党・政治家の成長や失敗・挫折も味わうのが日本的?

私が大学生を観察していても、「真剣に考えられないから投票いかない」「落選候補に投票したら無駄だからいかない」など、選挙を重くつまらなくとらえすぎている若者(大人も)一定数います。

選挙は私たちの民主主義を楽しむためのフェス(お祭り)としての側面もあります(不謹慎な言い方で恐縮ですが)。

投票率が低いとはいえ、日本の国政選挙は、アジアの中でも汚職は減少しており、言論弾圧などもされず、法務大臣経験者でも公職選挙法違反で逮捕・検挙される相対的に健全度の高い選挙です(問題点もありますが)。

こうした比較的健全度の高い民主主義をよりよく機能させるためには、若者や子育て世代のみなさんが、#こども応援団 #若者応援団 の候補に、期待をこめて投票することも大事なのです。

今回投票した政党・政治家の成長や失敗・挫折も味わうのが日本的な、選挙の味わい方かもしれません。

選挙とは政治家育成ゲームとしての側面もあります(これも不謹慎な言い方で恐縮ですが)。

冒頭に書いたように、選挙のテクノロジーも発達したいま、死に票などありません。

落選候補への一票でも、子ども・若者にやさしい候補者への投票が増えることは、子どもにやさしくない政党・候補者の公約や言動を変えることにつながります。

さあ、投票に行ってみましょう♪

日本大学教授・こども家庭庁こども家庭審議会部会委員

末冨 芳(すえとみ かおり)、専門は教育行政学、教育財政学。子どもの貧困対策は「すべての子ども・若者のウェルビーイング(幸せ)」がゴール、という理論的立場のもと、2014年より内閣府・子どもの貧困対策に有識者として参画。教育費問題を研究。家計教育費負担に依存しつづけ成熟期を通り過ぎた日本の教育政策を、格差・貧困の改善という視点から分析し共に改善するというアクティビスト型の研究活動も展開。多様な教育機会や教育のイノベーション、学校内居場所カフェも研究対象とする。主著に『教育費の政治経済学』(勁草書房)、『子どもの貧困対策と教育支援』(明石書店,編著)など。

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