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採用面接で「話を盛る」と不合格になってしまうのはなぜか。企業が嫌う4つの大きな理由とは

曽和利光人事コンサルティング会社 株式会社人材研究所 代表取締役社長
盛るのがダメかどうかは別として嫌われるのは事実。理由は4つあります。(写真:Paylessimages/イメージマート)

■「話を盛る」は超ネガティブ評価

採用面接担当者は、面接後の評価をする際に、よく「あの人は話を盛っていたな」という表現を使います。もちろん、たいていの場合は悪い意味で、そう見られた人は高い確率で不合格になります。それが正しいかどうかは別として、多くの企業で「話を盛る」人は嫌われてしまうのです。

採用面接は自己アピールの場なのだから多少盛っても熱意があるように見えていいのでは、と思われがちですが、実際には逆効果になるのです。それではなぜ、面接で話を盛ることはそこまでいけないことなのでしょうか。

■「話を盛る」とは

言うまでもなく「話を盛る」とは、自分の行動や成果を、実際にやったことよりも大げさに話してアピールすることを指します。

例えば、イベントでの集客や営業での売り上げなどを、実際より多めに話したり、それほど難易度が高くなく大したことのない実績なのに、とても高い障壁があって高い能力を発揮しなければ乗り越えることができなかったなどと話したりするようなことです。

「それぐらい採用面接では誰でもしていることだろう」と思うかもしれませんが、私はやめた方がよいと思います。それは「嘘をつくな」という倫理的な理由ではなく、単純に落ちる可能性が高くなるからです。

■「不誠実な人」に見える

最大の理由は、話を盛って自分をよく見せようとすることは、不誠実に見えるからです。企業は単に有能な人を採用しようとしているのではありません。有能かつ誠実な人を採ろうとしているのです。

有能で不誠実な人は、むしろ「絶対に採ってはいけない人」として常に警戒されています。そういう人は、とても上手に悪事を働き、会社を壊していくからです。

性格を5因子で分析するビッグファイブ理論の中に「誠実性」(責任感があり勤勉で真面目な傾向)という因子がありますが、様々な研究を通して、この因子は仕事の成果との相関が最も高いことが分かってきており、人事にも知られています。だから不誠実さは不採用基準なのです。

■「自己認知が甘い人」に見える

話を大げさに盛ってしまうと、採用担当者はどうしても目の前の候補者との間にギャップを感じてしまいます。「そんなすごいことをしてきた人にはどうも見えないな」という印象を受けると、不誠実な人か、次の仮説としては「自己認知の甘い人」と疑われることでしょう。

実は「自己認知が甘い人は仕事ができない」というのも、半ば人事の常識なのです。自分のことがわかっていないと、弱みを改善しようとしないので成長しませんし、強みを生かしてチームワークをすることも苦手です。そういう人を会社は採りたいとは思いません。

■「情緒不安定」に見える

また、自分が話を盛っていることは、盛っている本人がよくわかっており、面接担当者にバレないようにできても、自分を欺くことはできません。息をするように嘘をつける人ならともかく、普通の人なら「今、自分は嘘をついている」と思いながら話しているはずです。

すると、話している人の挙動が怪しくなっていきます。目が左右に泳いだり、まばたきが多くなったり、不自然に長く目を閉じたりします。口が渇いてきて、唇をなめたりすることもあります。

他にも汗をかいたり、手で顔をさわったり、落ち着きがなくなったりと、身体中におかしな現象が起こり、情緒不安定な人と見られてしまうかもしれません。面接評価は、情緒の安定性と相関が高いことも知られており、結局不利になってしまいます。

■「当たり前水準の低い人」に見える

それほどでもない実績を、すごいこととしてアピールするのも危険です。面接担当者が「すごいと言うから聞いてみたら、それほどでもないレベルだった」と思うからです。同じレベルの実績なら「それほど大したことはないのですが」と謙虚に話す方がよいのです。

人はどんなものに対しても自分なりの評価基準、「当たり前水準」を持っています。そして、仕事で成果を出す人の「当たり前水準」は高い。同じことをやって「もう十分頑張った」と思う人より、「まだまだやれる」と思う人の方が成果を出すのは当然でしょう。

つまり「あの程度のことを”すごい”と思うなら、この人の”当たり前水準”は低いのだな」と思われて、低い評価となるのです。

■「正直は最善の策」で合格率は高くなる

このように「話を盛る」ことは、採用面接においては百害あって一利なしです。そもそも採用面接は成果の自慢大会ではなく、単純に自分の人となり(性格や能力)を正しく伝えて、会社や仕事にフィットするかを見る場です。

しかも、かなり巧妙に嘘をつける一部の人以外は、手練れの面接担当者に「盛っている」ことはほぼバレます。というのも、面接の基本は相手が話すことは全て事実で細かくしつこく裏付けを取ることで、信憑性の高い情報を集めることにあるからです。

「話を盛る」というのは、要は嘘ですから、事実を細かく聞かれれば、結局矛盾が生じたり、一貫性がなくなったりしてバレるのです。

「正直は最善の策」というのは、採用面接においても当てはまります。自分をストレートに出す方が、誠実で自己認知が高く、情緒が安定していて、当たり前水準が高く見えるわけですから、もしその会社にフィットしているなら、合格率もより高くなることでしょう。

キャリコネニュースで人と組織についての連載をしています。こちらも是非ご覧ください。

人事コンサルティング会社 株式会社人材研究所 代表取締役社長

愛知県豊田市生まれ、関西育ち。灘高等学校、京都大学教育学部教育心理学科。在学中は関西の大手進学塾にて数学講師。卒業後、リクルート、ライフネット生命などで採用や人事の責任者を務める。その後、人事コンサルティング会社人材研究所を設立。日系大手企業から外資系企業、メガベンチャー、老舗企業、中小・スタートアップ、官公庁等、多くの組織に向けて人事や採用についてのコンサルティングや研修、講演、執筆活動を行っている。著書に「人事と採用のセオリー」「人と組織のマネジメントバイアス」「できる人事とダメ人事の習慣」「コミュ障のための面接マニュアル」「悪人の作った会社はなぜ伸びるのか?」他。

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