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オールスター選手たちが見据えるもの

林壮一ノンフィクションライター
(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 18日に催された「2024年NBAオールスターゲーム」が酷評されている。211-186で、オールスター史上最高得点を叩き出した東軍が勝利したが、両軍ともにケガ人を出さないよう、ディフェンスをまったく無視した戦いに終始した。

 東軍の選手たちは、104-89とリードして迎えたハーフタイムに「これまでに無い、200得点を超えよう」と話し合い、共通目標とした。

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 ニューヨーク・ニックスのジェイレン・ブランソンは、試合後「200点超えはこれまでに達成したことがなく、俺たちの目標だったので実現できて嬉しい」と記者団に語った。

ニューヨーク・ニックス所属のジェイレン・ブランソン
ニューヨーク・ニックス所属のジェイレン・ブランソン写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 言い出したのは誰? という問いに、「イースタン・カンファレンスのロッカールームにいる全員だよ」とブランソンは答えた。

 「すべてが恰好良かったよな。俺もそれに参加できたってことに、ただただ興奮している。素晴らしい経験だったよ」

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 27分30秒のプレー中、23本の3Pを放ち、そのうちの11本を成功させて39得点したミルウォーキー・バックスのデイミアン・リラードがMVPを獲得。前日の3Pコンテスト同様、常に冷静なプレーは彼らしかった。

写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 20年連続の出場となった"KING"レブロン・ジェームズも先発ではあったが、コートに立ったのは僅か13分48秒。8得点4リバウンド3アシストに終わった。

 現在、西地区15チーム中9位と苦しむロスアンジェルス・レイカーズは、巻き返しを図らねばならない。自身のコンディションを考慮しての選択だった。

写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 KINGは語った。

 「今夜、良かったことは、怪我をした選手がおらず、全員が無傷で終えられたこと。試合開始前の状態で戻れるんだ」

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 ミネソタ・ティンバーウルブズのアンソニー・エドワーズは、22歳の若者らしく、本音を漏らした。

 「これはオールスターゲームなので競争だとは決して思わない。休憩だよ。ここに来て、激しい戦いをしたい人などいない」

シェイ・ギルジャス=アレクサンダーは西軍最多の31得点
シェイ・ギルジャス=アレクサンダーは西軍最多の31得点写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 こうなってくると、オールスターの存在価値自体が問われてしまう。高額のチケットを購入するファンが見たいのは、やはり真剣勝負だ。ディフェンスをし合わないバスケットボールが、これだけ味気ないものなのか、を表現したゲームでもあった。

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 オールスターに選ばれた精鋭には3日、それ以外のNBA選手には5日のオフとなった。今夜から、Play offに向けた戦いが始まる。トップ選手たちは、今回の休息をどのように繋げるのか。 

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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