Yahoo!ニュース

肉親を射殺された有名アーティストがNBAオールスターに参加

林壮一ノンフィクションライター
(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 2024年のNBAオールスターが迫ってきた。今年はインディアナポリスで開催される。現地時間の7日、両チームのスターティングメンバーが発表された。

写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 西軍はキャプテンのレブロン・ジェームズ(ロスアンジェルス・レイカーズ)、ニコラ・ヨキッチ(デンバー・ナゲッツ)、ケビン・デュラント(フィニックス・サンズ)、ルカ・ドンチッチ(ダラス・マーベリックス)、シェイ・ギルジャス=アレクサンダー(オクラホマシティ・サンダー)。

写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 東軍は主将のヤニス・アデトクンボ(ミルウォーキー・バックス)を始め、同じバックスのデイミアン・リラード、ジェイソン・テイタム(ボストン・セルティックス)、タイリース・ハリバートン(インディアナ・ペイサーズ)、そして、7日の時点ではフィラデルフィア・セブンティシクサーズのジョエル・エンビードが挙がったが、左膝半月板を損傷してしまったため、欠場するであろう。

写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 そして、今季のオールスターに花を添えるエンターテイナーもアナウンスされた。地元インディアナポリス出身で、グラミー賞を13回受賞したシンガー・ソングライター、シャーロット・カーディンが、NBAオールスターゲーム前にアメリカとカナダの国歌を斉唱する。

シャーロット・カーディン
シャーロット・カーディン写真:REX/アフロ

 そして、ハーフタイムには、最年少の女性EGOT優勝者に輝いたジェニファー・ハドソンが登場する。ハドソンは、2004年にFOX TVが主催した『アメリカン・アイドル』で存在感を示し、歌手としてプロデビュー。女優としてもキャリアを重ねながら、瞬く間にスターとなった。

 しかし、2008年10月24日に当時57歳の母、29歳の兄、7歳の甥っ子を銃殺という形で失っている。加害者はハドソンの実姉の配偶者で、コカイン所持で逮捕歴のある男だった。

ジェニファー・ハドソン
ジェニファー・ハドソン写真:REX/アフロ

 私はかつて、同事件が起こったSouth Yale Avenueを訪ねた。シカゴブルズの本拠地であるユナイテッドセンターから南におよそ18km。事件現場となった家は壊されていたが、貧しいエリアであることに変わりはなかった。

 NBAの歴史を紐解くと、水道も引けないゲットーや貧しい農家の小作人家庭から、アスリートとしての才能を武器に這い上がったタイプを頻繁に目にする。そんなスターたちの宴にハドソンが参加するのは、どこか胸を温かくする。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

林壮一の最近の記事