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王座交代が期待できそうなWBAスーパーライト級タイトルマッチ

林壮一ノンフィクションライター
Esther Lin/SHOWTIME

 3月30日にWBAスーパーライト級タイトルマッチが行われる。チャンピオン、ローランド・ロメロが初防衛戦として、イサック・クルスを迎える。

 2022年5月、ジャーボンテイ・"タンク"・デービスとの全勝対決に敗れたローランド・ロメロ。6ラウンドでキャンバスに沈んだが、1年後の再起戦では1階級アップしてWBA140パウンドのタイトルを獲得した。

 当初、ロメロは挑戦者としてリングに上がる予定だったが、王者の禁止薬物使用が判明。よって、空位となったWBAスーパーライト級タイトルをイズマエル・バローゾと争った。

 デービス戦のロメロは積極的に前に出て、ペースを握った局面もあった。が、バローゾとのファイトは序盤からスピードが無く、手数も少なく、3ラウンドにはバローゾの左ストレートを喰らってダウンする。

 実際、8ラウンドまでの採点は75-76、74-77、73-78で40歳のバローゾにリードされていた。

Esther Lin/SHOWTIME
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 9回40秒過ぎ、ロメロはショートの連打から右フックを顎にヒットし、バローゾを沈める。その2分後、ロメロがフルスイングのパンチを連打していたなかで、レフェリーが試合を止めた。

 このレフェリーの判断は、今尚、”早過ぎたストップ”として、物議を醸している。同時に、思いのほか打たれ弱さを見せたロメロは、デービスに壊されたのではないか、との声も上がっている。

Esther Lin/SHOWTIME
Esther Lin/SHOWTIME

 3月30日の挑戦者、クルスも2021年12月にジャーボンテイ・デービスに挑んでいる。判定で敗れながらも大いに株を上げ、その後、WBCライト級タイトル挑者決定戦で2ラウンドKO勝ち。2度目の世界挑戦に弾みをつけていた。

写真:REX/アフロ

 ところが、昨年7月29日の4冠統一ウエルター級タイトルマッチの前座に出場したクルスは冴えなかった。スプリットディシジョンで勝者となったが、粗さが目立った。

 ただ、今回は心身共に、これ以上ないコンディションに仕上げて試合当日を迎えるであろう。

 クルスは言う。

 「世界タイトルを懸けて戦う機会を得られてとても嬉しく、非常にモチベーションが高い。世界戦の舞台に上がるために、私は懸命に働いてきた。他のビッグネームと戦おうとしたが、全てに逃げられた。彼だけが勇気を見せ、挑戦を受け入れてくれたんだ。

 ロメロは実力もハートも備えている。ノックアウトを狙ってくるだろう。3月30日の一戦は素晴らしいものになる。この試合を組んでくれたプロモーター、私のチーム全員に感謝している。3月30日、自分は世界チャンピオンとしてリングを降りるよ」

Ryan Hafey(Premier Boxing Champions)
Ryan Hafey(Premier Boxing Champions)

 デービスに敗れた者同士。15勝(13KO)1敗のロメロと、25勝(17KO)2敗1分けのクルス。果たして、どんな試合となるか。筆者は、挑戦者有利と予想する。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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