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カネロ戦を切望する43勝34KOの元WBOスーパーウェルター級王者

林壮一ノンフィクションライター
(写真:REX/アフロ)

 ティファナ出身の元WBOスーパーウェルター級王者、ハイメ・ムンギアが、ジョン・ライダーを9回KOで下してWBCスーパーミドル級シルバー王座を防衛した。4度のダウンを奪っての快勝だった。

 2023年5月6日にサウル・"カネロ"・アルバレスに挑み、大差の判定負けを喫した35歳のライダーは「負けたら引退」と公言し、あの日以来のリングに上がった。

カネロに判定負けしたライダー
カネロに判定負けしたライダー写真:ロイター/アフロ

 初回からムンギアが距離を制する。オーソドックスvs.サウスポーの鉄則通り、前足を相手の前足の外側に出すポジション取りでも勝利した。ボディーへのストレート、ジャブ、ワンツーから左フックと主導権を握る。

 2ラウンド1分6秒、35歳をコーナーに詰め、連打からの右ストレートを顔面にヒットしたムンギアが早くもダウンを奪う。4回終盤にも左ショートのカウンターで、9回にも右フックでライダーを沈めた。

 起き上がったライダーだったが、最後は左ボディアッパーを喰らい、前のめりに倒れた。ライダーのコーナーはタオルを掲げたが、レフェリーのウェス・メルトンは、それを見ることができなかった。ライダーは何とか9回終了のゴングまで生き延びたが、同ラウンド終了時にセコンドが棄権を申し入れた。

 ムンギアは43戦全勝34KO、ライダーは32勝(18KO)7敗となった。

写真:REX/アフロ

 試合後、ムンギアは言った。

 「とても幸せだ。完璧な準備をした。 自分はこの試合に向け、一生懸命に努力した。多くの人が俺の実力を疑問視しているが、これは必死で働いた結果だ。我がチームは、168パウンドで戦う気持ちでいる。

 カネロとの対戦は、メキシコ人同士の素晴らしいファイトになるだろう。もし彼が我々にチャンスを与えてくれたら、本当に光栄だ」

写真:REX/アフロ

 また、次のように付け加えた。

 「以前は狂ったようにパンチを打ち込んでいたが、今回はタイミングを重視し、完璧に当てた。ライダーはタフであり、頭の固いファイターだ。彼の頭を殴りすぎて、手が痛くなったよ。

 最高の気分だ。次の戦いに向けてやる気が湧いてきた。自分は今回よりも良く、大きな存在になるだろう。毎回成長するよ。我々のチームは、まだ次の相手について何も分からないし、交渉も始まっていない。しかし、168パウンドで最強の座を手に入れたい。チャンピオンを目指しているから」

写真:REX/アフロ

 33歳のカネロは、直近の試合(2023年9月)で、2階級下の統一王者であるジャーメル・チャーロと戦った。自身より遥かに軽い体重の男を一蹴したものの、勝って当然のミスマッチだった。

 名のあるファイターとの対戦を希望するカネロは、ジャーメルの双子の兄で、WBCミドル級王者であるジャーモール・チャーロ戦が噂されている。

 ムンギアのボクシングは粗いが、勢いはある。カネロvs.ムンギアのメキシカン対決が決まれば、話題になるであろう。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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