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木曜日に行われるBIG Match

林壮一ノンフィクションライター
(写真:ロイター/アフロ)

 2月8日にWBOスーパーライト級チャンピオンのテオフィモ・ロペスがジャメイン・オルティスと対戦する。この試合は全米中が注目するNFLスーパーボウルの3日前に、ラスベガスで行われる。ボクシング興行としては非常に珍しい、木曜日のイベントだ。

 今年のスーパーボウルの会場は、ラスベガスのアレジアント・スタジアム。カリフォルニア州オークランドから、ネバダ州ラスベガスにフランチャイズが移ったレイダースのホーム・スタディアムで2020年9月21日から熱戦が続いている。毎年のことだが、アメリカ国民のほとんどが胸を焦がすスーパーボウルの開催地として、現時点で、かなりの盛り上がりを見せている。

写真:ロイター/アフロ

 2020年10月17日、IBF王者としてWBA/WBCフランチャイズ/WBOライト王座に就いていたワシル・ロマチェンコと対峙したロペスは、盤石だった統一チャンプを攻略して一躍スターダムに駆け上がった。しかし、ロマチェンコ戦から13カ月後にジョージ・カンボソス・ジュニアに番狂わせの敗北を喫し、3本の世界タイトルを失う。

メディアに配られた試合のポスター
メディアに配られた試合のポスター

 現在26歳のロペスは、黒星後に階級を上げた。そして昨年6月10日、4冠王者として140パウンド最強と謳われていたジョシュ・テイラーを徹底的に崩し、3-0判定でWBOタイトルを獲得。

 その一方で、実父でトレーナーも務めるテオフィモ・ロペス・シニアとの険悪な関係や、ボクシング界が自分を利用しようとしている等の発言を繰り返しており、リング外での問題も抱える。

 ロペスは言う。

 「ジャメインはタフだ。アマチュア時代の2015年に、ナショナル・ゴールデン・グローブで彼と対戦したことがあるから分かっているよ。だが、チャンピオンは困難に直面してもひるまないことを世間に知らしめてやる。社会に本物のボクシングを見せようじゃないか」

 2015年のナショナル・ゴールデン・グローブではロペスがオルティスに勝利した。プロでの戦績は、ロペスが19戦(13KO)1敗。オルティスが、17勝(8KO)1敗1分。

 オルティスも、2022年10月29日にロマチェンコと戦い、0-3の判定負けを喫した。スコアは、111-117、112-116、113-115だったが、立ち上がりはペースを掴んだ。ロマチェンコを相手にジャブの正確さ、身体の強さ、身体能力を見せた。

 このパフォーマンスは、ロマチェンコ戦の5カ月前に、元WBOスーパーフェザー級のジャメル・ヘリングとライト級で拳を交え、勝利した後のものだった。今回は、140パウンドでタイトル獲得を目指す。

写真:ロイター/アフロ

 3日後のスーパーボウルに心を躍らせる米社会に、インパクトを残せるか。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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