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期待の21歳が左前十字靭帯断裂で今季絶望

林壮一ノンフィクションライター
(写真:ロイター/アフロ)

 2002年8月28日生まれのアルゼンチン代表MF、ファクンド・ファリアスが19日(金)に行われたインテル・マイアミのプレシーズンマッチ、エルサルバドル代表戦で大けがを負った。

 後半途中に、ボールを奪いにいった折、21歳の若者は左膝をつかんで倒れた。フィールドで応急処置を受けた後、顔を両手で覆い、痛みに苦しみながら担架で運ばれた。

 左前十字靭帯断裂。

 まだ開幕前だが、マイアミは翌日、正式なケガの状態と、「近々手術を受け、今シーズンはリハビリに専念するためピッチに立つことはない」なる声明を出した。

 ファリアスは、昨年7月(リオネル・メッシとほぼ同時期)にMLS(メジャー・リーグ・サッカー)でプレーすることを決め、マイアミのユニフォームに袖を通した。ひとえにメッシと共にプレーすることで自身を成長させたかったからである。祖国のクラブ、コロンから約550万ドルの移籍金でマイアミに加入した。

スアレス
スアレス写真:ロイター/アフロ

 メッシの盟友であるルイス・スアレスも、つい最近マイアミの一員となったため、ベンチスタートが多くなるか…と見られていたが、昨年MLS11ゲームに出場して3ゴール2アシストをマーク。FWも攻撃的ミッドフィールダーも共にこなせるファリアスは、マイアミのリーグズカップ優勝、そして全米オープンカップで勝ち上がった際に、大きく貢献した。そのポテンシャルは、関係者が認めていた。

写真:ロイター/アフロ

 9月8日にアルゼンチン代表として2026年のワールドカップ予選、エクアドル戦に出場したメッシが左ハムストリングの肉離れに見舞われ、12日のボリビア戦に欠場した際、背番号10の代役として急遽代表メンバーにも加わった。

 2024年は、更なる飛躍を期待されていたのだが……。

写真:ロイター/アフロ

 ファリアスの離脱はチーム、及び、タタ・マルティーノ監督にとって大打撃だ。昨季、途中加入ながらメッシがチームを率いたことで、初のタイトルを獲得したマイアミは今シーズン、主要タイトルを虎視眈々と狙っている。

 マイアミは、伸び代を買って白羽の矢を立てた21歳を欠くのなら、アルゼンチンの名門、リーバー・プレートのMF、アグスティン・パラベシーノのレンタル獲得を検討し始めたとの噂話も漏れ伝わってくる。

 21歳が壁を乗り越えて羽ばたくことを祈る。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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