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花が咲く日のために…水と肥料をやり続けるヒューストン・ロケッツ

林壮一ノンフィクションライター
(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 現地時間20日、テキサス州ヒューストンのトヨタ・センターで行われたヒューストン・ロケッツvs.ユタ・ジャズ戦は、延長戦の末、ホームファンの後押しを受けたロケッツが1点差でジャズを振り切る劇的なフィナーレを見せた。

 19勝21敗のロケッツも、22勝21敗のジャズも下位争いを展開中で、今季はかなり苦しんでいる。

写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 ただ、今日のロケッツは、若き才能を育てる時期でもある。チームは我慢しながら肥料を与え、水をやることで、花が咲く日を待つーーーそんな状態だ。そして早くも化けつつあるのが、トルコ出身の21歳、センターのアルペラン・シェングンである、

 シェングンはこの夜、両チームを通じて最長の41分43秒プレーし、キャリアハイの37得点、ゲームハイの14リバウンドをマーク。勝利に大きく貢献し、背番号28に宿る可能性を十二分にアピールした。

 今シーズンのロケッツは3度の延長戦を経験し、全てに敗れていただけに、地元ファンの喜びもひとしおである。

写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 2002年7月25日に北東部のギレスンで生まれたシェングンは、身長211cmのセンター。祖国でプロとしてスタートを切り、18歳にしてMVPを獲得。2021年のNBAドラフトにおいて全体16位でオクラホマシティ・サンダーにコールされ、即、ロケッツにトレードされた。3年目の今年は、NBAでの慣れと自信を覗かせる。

 ユタ戦では、26本のシュートを放ち、15本を成功させた。延長戦終盤にフリースローを立て続けに外したシーンが印象に残ったが、この日のフリースロー成功率は60パーセント。

写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 シェングンに続く41分18秒コートに立ったジャバリ・スミス・ジュニアも24得点10リバウンドと気を吐いた。2022年のドラフト全体3位でロケッツに加入した20歳のパワーフォワードで、こちらも身長は211cm。父も元NBA選手で、サクラメント・キングス、フィラデルフィア・セブンティシクサーズ、ニュージャージー・ネッツでプレーした。まさしくサラブレッドだ。

写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 ジェームズ・ハーデンがロケッツを率いていた頃とは、まるで別のチームだが、若手の成長を見るのは素直に楽しい。時間を要するかもしれないが、いつか強いロケッツが戻ってくるような気がする。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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