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前統一ウエルター級チャンピオンの両目

林壮一ノンフィクションライター
Esther Lin/SHOWTIME

 前WBA/WBC/IBFウエルター級チャンピオンのエロル・スペンス・ジュニアが1月8日(月)に、右目の白内障手術を受けた。

 白内障手術の回復期間は一般的に8週間とされる。スペンスは2021年8月9日、ネバダ州アスレチック・コミッションが行ったメディカルチェックで、左目網膜裂孔が判明し、その後、剥離したことが伝えられた。スペンスは当時、マニー・パッキャオ戦を控えていたが、翌10日に故郷であるテキサス州ダラスに戻り、11日に手術している。無論、パッキャオ戦は中止となった。

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 あれから29カ月が過ぎた。

 28勝(22KO)1敗のスペンスは今回、右目に包帯を巻かれて車椅子で移動するシーンを自らSNSに投稿した。

 昨年7月29日の試合終了直後から、スペンスはスーパーウエルター級に上げ、テレンス・クロフォードとのリターンマッチをしたいと口にしていたが、敗者は試合後30日以内に、再戦を行使する権利がある内容で契約が交わされていた。その権利を主張している。

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 とはいえ、4冠統一ウエルター級戦を見る限り、ダメージは深刻だ。そして、目の治療とは気になる。それも、両目を患ったこととなる。

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 クロフォードvs.スペンス戦は全勝中の世界ウエルター級王者同士、プラス、パウンド・フォー・パウンドKINGを懸けた戦いでもあったが、ハッキリと明暗が分かれた。両ファイター共にあれ以来リングに上がっておらず、勝者は更に確固たる地位を確立したが、スペンスは回復に時間を要していた。

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 そのスペンスは、今回、引退しないとアナウンス。是が非でもクロフォードとの再戦に結び付けたい構えだ。その気持ちは理解出来る。こういった闘志が無ければ、ファイターとしてボクシング史に名を刻むことは出来なかっただろう。しかし、両者の間には、大きな差があるのも事実だ。

 スペンスは2019年10月に酒気帯び運転事故を引き起こし、14カ月間リングから遠ざかっているが、33歳で満身創痍とは、今後が心配だ。治療を終えた後、どんな形で復帰するのだろうか。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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