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伝説のDFのこれから

林壮一ノンフィクションライター
写真:LAFC  16歳でプロデビューしたキエッリーニは、昨年、長い旅を終えた

 現地時間16日、昨シーズン限りで引退を決めた伝説のDF、ジョルジョ・キエッリーニ(39)が指導者としてLAFCに残ることが発表された。肩書は育成コーチである。

 LAFCでは2022年6月13日から2シーズンプレーし、初年度にMLS(メジャー・リーグ・サッカー)で優勝。昨季はファイナルで敗れ、その直後に引退をアナウンスした。彼は、LAFCの監督やコーチングスタッフらと協力し、教える側に回って第一歩を踏み出す。

写真:LAFC
写真:LAFC

 LAFCのGMは述べた。

 「ジョルジョが選手として最後の18カ月をLAFCでプレーしてくれたことに、心から感謝している。その間、彼は自分がどれほどの価値があるかを証明した。クラブに計り知れない貢献をし、今後も我々に信じられないほど素晴らしいフットボールのマインドを伝えてくれるだろう。来シーズンに向けてリーダーシップを発揮し、稀有なスタッフとなることは間違いない」

写真:Maurizio Borsari/アフロ

 名門、ユベントスに17年在籍したキエッリーニはセリエA9連覇に加え、イタリアン・カップとイタリアン・スーパーカップで5度ずつ優勝した。セリエA年間最優秀DFにも3度選ばれている。

写真:LAFC
写真:LAFC

 LAFCでは45試合に出場し、そのうち38度先発で起用された。キエッリーニがピッチにいるのといないのでは、チームはまったくの別物だった。確かに全盛期は過ぎていたが、米国サッカー界に「本物」を見せ続けた。

 キエッリーニのリーダーシップの影響で、LAFCは18の無失点試合を記録。その守備の強固さは実に見応えがあった。

写真:Maurizio Borsari/アフロ

 また、キエッリーニは2004年から2022までの間にイタリア代表として117試合を戦い、アズーリを2020年の欧州選手権優勝に導いている。代表チームでは8ゴール4アシストをマーク。2010年と2014年のワールドカップも経験した。

写真:Maurizio Borsari/アフロ

 一流選手であるだけでなく、トリノ大学で経済商業学と経営管理学の学士を得た努力の人でもある。

 いずれは祖国で監督となるであろう逸材だが、コーチとして米国サッカー界に何をもたらすのか。MLS内でLAFCを強豪チームに育て上げた彼の指導力、人心掌握術に、期待大だ。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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