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逮捕されたヘビー級世界ランカー

林壮一ノンフィクションライター
(写真:ロイター/アフロ)

 昨年12月23日、サウジアラビアのリングに上がり、ダニエル・デュボアに10回TKO負けを喫したヘビー級世界ランカー、ジャレル・ミラーが、1月2日に逮捕された。

写真:ロイター/アフロ

 12月23日は敗者となったものの、大晦日に発表されたWBAランキングでは11位に踏み止まっていた。そんなミラーだが、フロリダ州ハリウッドで暴行を用いた自動車強奪の罪で逮捕されたのだ。

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 ハリウッドのローカルニュースであるWSVNが報じた内容によれば、ミラーは、自動車販売店の従業員を襲い、首を絞め、地面に投げ飛ばした後、鍵を盗んでトラックに飛び乗ってハンドルを握り、走り出したという。

2019年6月にアンソニー・ジョシュアに挑む筈だったが
2019年6月にアンソニー・ジョシュアに挑む筈だったが写真:ロイター/アフロ

 現在35歳のミラーは、WBO北米タイトルを獲得したことがあり、2019年6月にはマディソン・スクエア・ガーデンで、アンソニー・ジョシュアの持つWBA/IBF/WBOヘビー級タイトルに挑むことが決まっていた。が、禁止薬物の陽性反応が出て、試合はキャンセルに。2021年にもPED(身体強化薬)の使用により2度目の出場停止処分を受けている。

写真:ロイター/アフロ

 新年早々、ボクサーの醜態を耳にしてやるせない思いになった。ニューヨーク、ブルックリン出身のミラーは、同郷の元世界ヘビー級王者、マイク・タイソンやリディック・ボウに憧れ、グローブを握った。

 非行少年がボクシングを通じて更生し、人生を切り拓くーーそんなストーリーがある一方、犯罪に手を染めながら生きるしかない輩の存在もある。この男も、社会のレールから外れ、転げ落ちるしかないのか。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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