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元世界王者同士による11年ぶりの再戦

林壮一ノンフィクションライター
Amanda Westcott/SHOWTIME

 IBFフェザー級、IBFスーパーフェザー級、WBA/WBO暫定ライト級、WBC暫定ウエルター級タイトルを獲得したロバート・ゲレーロと、元WBC、IBFウエルター級王者のアンドレ・ベルトがグローブを交えた。共に40歳。2012年11月24日以来の再戦である。

 11年前は、WBC暫定ウエルター級タイトルマッチとして戦い、初回と2ラウンドにダウンを奪ったゲレーロが判定勝ちを収めている。

 Amanda Westcott/SHOWTIME
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 2010年3月、ゲレーロは保持していたIBFスーパーフェザー級タイトルを返上している。ガンとの闘いを強いられた妻に寄り添うためだった。14歳から交際し、生涯を共にすることを誓った妻は、造血幹細胞移植手術を受けねばならなかった。

 「手術の成功率は50%」と告げられたゲレーロは、時間の許す限り妻に寄り添い、食事を用意し、注射を打つ際には隣に座って励ました。

 Amanda Westcott/SHOWTIME
Amanda Westcott/SHOWTIME

 そんな過去を持つゲレーロが、98-92、98-92、99-91の判定で、勝利を飾った。試合後、彼は語った。

 「リングはやっぱり最高だね。ジャブとフットワークを駆使するって、試合前に言ったんだ。ベルトはタフでスピードもあり、強かった。厳しい局面が何度もあったよ。でも、私も怯まずに戦い続けた。いい試合だっただろう。次の試合はどうなるかな」

 自身の戦績を、38勝(20KO)6敗1分けとしたゲレーロは付け加えた。

 Amanda Westcott/SHOWTIME
Amanda Westcott/SHOWTIME

 「賢く戦わねばいけないと思っていた。前回ベルトと戦った折、肩を痛めてしまったんだ。今回はテクニックを活かした。ファンの皆さんは、122パウンドだった時代の私を見ている。私にアウトボクシングができることを知っていた筈。それを今日やった。私は40歳だが、雄牛ってのは年を重ねるほど角が硬くなるんだぜ。

 自分がどこまでやれるか試したい。もしかしたら世界戦線に戻れるかもしれない。皆さんはどう思う?」

 Amanda Westcott/SHOWTIME
Amanda Westcott/SHOWTIME

 黒星を喫し、32勝(24KO)6敗となった40歳も言った。

 「(5年4カ月という)長いブランクがあったが、リベンジしたかった。タイミングが狂っていたが、ベストは尽くしたよ。いい試合だったんじゃないかな。でも、自分には足りないものがあったね」

 1986年から37年間、ボクシング中継を続けたSHOWTIME最後の放送に、彼らのようなベテラン同士のカードが組まれれば、否が応でもノスタルジックな気持ちにさせられた。

 両者が平穏に、かつ、輝かしい未来を築けることを願いたい。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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