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全勝対決を制したWBCスーパーミドル級暫定王者

林壮一ノンフィクションライター
Amanda Westcott/SHOWTIME

 27戦全勝23KOのWBCスーパーミドル級暫定チャンピオン、デビッド・ベナビデスと、32戦全勝19KOの挑戦者、デメトリアス・アンドラーデとの対戦は、両者に予想以上に実力差があった。

 チャレンジャーはWBA/WBOスーパーウエルター級、WBOでもミドル級タイトルを獲得し2階級を制していたが、168パウンドの壁は厚かった。

 Amanda Westcott/SHOWTIME
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 ベナビデスがサウスポーと対戦するのは7年ぶりであったが、まったく支障なく、ダメージを与え続けた。3月のケイラブ・プラント戦と同じように、ベナビデスはラウンドを重ねるごとに本領を発揮した。

 第4ラウンド終了間際にベナビデスの右を喰らったアンドラーデは、キャリアで3度目となるダウンを喫する。アンドラーデは震える足で立ち上がり、同ラウンドを凌いだが、その後もダメージを蓄積させ、7ラウンド開始のゴングを聞く前に棄権するしかなかった。

 Amanda Westcott/SHOWTIME
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 初黒星を喫した北京五輪代表のサウスポーは、試合後に早々と再起を宣言。

 「振り出しに戻りますが、私はカムバックします。168パウンドに適応するように、鍛え直します。必要なことはすべてやったと感じていましたが、デビッドはとんでもないファイターです。

 誰も彼との対戦を希望しなかったなかで、私は3階級制覇を目指しました。それは突飛なことではありません。ただ、今夜の主役はデビッドでした」

Amanda Westcott/SHOWTIME
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 ベナビデスは試合終了後、自身を最高の誉め言葉である<メキシコの怪物>と呼んだマイク・タイソンと抱擁を交わした。

 勝者は言った。

 「マイク・タイソンに、愛していると伝えたよ。彼が上げてくれたモチベーションにとても感謝している。マイク・タイソンのようなボクシング界のレジェンドが、誰かに渾名を付けることなんて、滅多にないだろう。ただ、俺は自分の思い通りに生きたいと思っているんだ。

 今日、俺は自分の力を示し、地位を固めたな。168パウンドの本当のチャンピオンが誰なのか、皆さん、思い浮かべたんじゃないの。俺とカネロとのファイトを戦を見たいだろう? 是非、提供しようじゃないか」

Amanda Westcott/SHOWTIME
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 WBCスーパーミドル級の正規チャンプは、ベナビデスが対戦を熱望するサウル・"カネロ"・アルバレスだ。2024年中に実現することを祈りたい。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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