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メッシがキャプテンマークを譲った相手

林壮一ノンフィクションライター
メッシは7試合で10得点を挙げ、リーグスカップ得点王となった(写真:ロイター/アフロ)

 現地時間19日、2023年リーグスカップ決勝が行われた。リオネル・メッシの7試合連続ゴールでインテル・マイアミが先制し、その後、ナッシュビルSCが追いつく展開。1-1のままPK戦に突入し、10-9でマイアミが勝利した。

 GK同士までが蹴り合った死闘は、ナッシュビルのGKのキックをマイアミのGKが弾いてフィナーレを迎えた。

写真:REX/アフロ

 リーグでは、東地区15位中最下位に沈んでいるマイアミに初タイトルを齎したメッシ。バロンドールを7度獲得し、先のカタールW杯でアルゼンチンを36年ぶりのVに導いた世界的プレイヤーであるのは、今更説明するまでもない。

AFP/アフロ
AFP/アフロ

 そんなメッシが、リーグスカップ決勝後の表彰式で、粋な計らいを見せた。彼は表彰台に上がる前、左腕から黒いキャプテンマークを外し、背番号2のデアンドレ・イェドリンに「これは君が着けてくれ」と渡したのだ。

 イェドリンは「いやいや、困るよ」と断ったものの、最後はメッシと2人で優勝トロフィーを掲げた。

 メッシがインテル・マイアミに加入する前、同チームでキャプテンを務めていたのがイェドリンである。彼はMLS、シアトル・サウンダーズでプロデビューし、米国代表としてブラジルW杯に出場。

 その後、プレミアリーグのトッテナム・ホットスパー、サンダーランド、ニューカッスルでプレーし、トルコのガラタサライを経由して、2022年より、マイアミのユニフォームを纏う、アメリカのトップ選手だ。

右端が、キャプテンマークを巻いていた頃のイェドリン
右端が、キャプテンマークを巻いていた頃のイェドリン写真:ロイター/アフロ

 決勝を控え、イェドリンはメッシ効果を次のように語っていた。

 「彼は、完全にグループに溶け込んでいます。ベテランにも若手にも、同じように接する人ですね。もちろん、僕は彼と一緒にプレーする前から、選手として彼を心の底から尊敬していましたが、昔以上に敬っていますよ。メッシって、信じられないほど素晴らしい人間ですから」

写真:REX/アフロ

 11試合も勝ち星に恵まれなかったインテル・マイアミを、鮮やかに変貌させたメッシ。今日は、USオープンカップの準決勝で、久保裕也が所属するFCシンシナティとの対戦だ。そして、26日にはMLSのリーグ戦が再開となる。

 メッシ率いるインテル・マイアミは、最下位からいかに巻き返すのか。背番号10に<勝者のメンタル>を植え付けられたその変貌ぶりを、十二分に味わいたい。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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