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15勝(1KO)1敗2分けのミドル級

林壮一ノンフィクションライター
Amanda Westcott/SHOWTIME

 身長185cm、リーチ194cmと、恵まれた体を誇るミドル級のマーキス・テイラー(29)。先日のファイトは2ラウンドにダウンを奪い、上々の立ち上がりを見せたが相手を仕留め切れないままズルズルとラウンドを重ね、結局10回判定で15個目の白星を挙げた。

 スコアは99-90、96-93、96-93。戦いぶりを見れば、テイラーのKO率が理解できた。

Amanda Westcott/SHOWTIME
Amanda Westcott/SHOWTIME

 試合前、テイラーはSHOWTIMEで自身のファイトがオンエアーされることに喜びを隠さなかった。彼は言った。

 「僕がずっと望んでいたファイトだ。ここまで来るのに長い時間と、多くの試合を経験した。でも、苦労のし甲斐があったよ。僕は誰と対戦しようが困難を克服して、勝利できると自分自身に証明した。この9ヵ月間でスーパーウエルターからミドルに上げて2試合をこなした。ハードワークしたし、チームを信じた」

Amanda Westcott/SHOWTIME
Amanda Westcott/SHOWTIME

 プロモーターは、テイラーの対戦相手であるヨエルビス・ゴメス(25)を「負け知らずのキューバ人サウスポー」とさかんに煽っていたが、6戦しかキャリアが無く、全米放送される大舞台に上げるには早過ぎる男だった。

 敗者はコメントした。

 「悔しいよ。レフェリーが邪魔ばかりして、自分の距離になると割って入ってきた。これはプロボクシングなんだから、自分の仕事をさせてくれって言いたかったね。ただ、自分は努力を続けて、もっといい状態で戻ってくる。期待してくれ」

Amanda Westcott/SHOWTIME
Amanda Westcott/SHOWTIME

 テイラーは結んだ。

 「より多くのチャンスを得るために154パウンドと、160パウンドの両方で戦っている。ジャーモール・チャーロが休養状態だから、ティム・チューと戦いたい。チュー、もしくはトップ5かトップ10の誰でもいい。ベストファイターと戦う時がついに来たぜ」

 テイラーは、<Marvelous>なるニックネームで呼ばれることを好む。無論、統一ミドル級チャンピオンの故マービン・ハグラ―を意識するが故だ。彼はハグラ―に近付けるだろうか。

 

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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