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間もなくゴング! 54歳の元パウンド・フォー・パウンドがリングに上がる

林壮一ノンフィクションライター/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
Phil Lambert/Gamebred Boxing

 ミドル級、スーパーミドル級、ライトヘビー級、そしてヘビー級の世界タイトルを獲得し、90年代のパウンド・フォー・パウンドKINGだったロイ・ジョーンズ・ジュニアが54歳にして、ウィスコンシン州ミルウォーキーのリングに上がる。

 対戦相手はUFCなどで活躍するアンソニー・ペティス(36)。ボクシングルールのクルーザー級8回戦でグローブを合わせる。

アンソニー・ペティス Phil Lambert/Gamebred Boxing
アンソニー・ペティス Phil Lambert/Gamebred Boxing

 ジョーンズは199.1パウンド、ペティスは198.5パウンドで前日計量をパスした。

 秤を降りた後、ペティスは言った。

 「ここにいる幸せを感じている。ミルウォーキーは故郷であり、私を育ててくれた人たちがいる。明日の夜は伝説のファイターと戦うから、ぜひ見てほしい」

Phil Lambert/Gamebred Boxing
Phil Lambert/Gamebred Boxing

 ジョーンズも語った。

 「俺の能力なら、いつでもどこでも何でもできるし、準備もしっかりこなした。非常にいい気分だし、ここに来られて嬉しい。明日の夜はとても良いショーを見せることになるだろう……俺は人生を優雅に遊ぶタイプじゃないんだ。皆さんがこれまでに目にした中で、最も面白いモノをお見せしよう」

 計量時の写真が物語るように、かつてのパウンド・フォー・パウンドも54歳。2020年11月にマイク・タイソンとエキシビションを行ったが、言ってみればマスボクシングであった。36歳のUFCファイターのパンチがクリーンヒットしたら、危険だ…。

提供:Joe Scarnici/USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 とはいえ、ジョーンズ自身は自信を持っている。試合2日前の最終記者会見の折にも強気の発言を繰り返していた。

 「この歳で好きなことができるのは楽しいね。素晴らしいイベントになるよ。自分自身も楽しみにしている。

 今回のファイトのために200パウンドの体を作ることに挑戦した。模範となれない男にはなりたくないしね。俺はいつも良い例を示したい。ボクシングの問題点は、誰もが負けることを恐れていることさ。最高の相手と戦わなければ、時間を浪費するだけ。ベストを尽くしたいなら、リスクを負ってでも勝負しなければならない。

 俺は戦うことが好きなんだ。素晴らしいアスリートたちや、関係者、ファンと一緒に試合を迎えるのは、天国にいるような気分だよ。54歳の俺がトレーニングキャンプをこなし、体重を元に戻すことができれば、自分が手掛けるファイターたちにも、何かを伝えられる筈だ」

Phil Lambert/Gamebred Boxing
Phil Lambert/Gamebred Boxing

 一体どんな戦いになるか。筆者と同じ歳のジョーンズが、深刻なダメージを負わずにリングを降りることを祈る。

ノンフィクションライター/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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