Yahoo!ニュース

間もなくゴング!元WBCヘビー級王者のカムバック戦

林壮一ノンフィクションライター
Stephanie Trapp/TGB Promotions

 元WBCヘビー級王者のディオンティ・ワイルダー(36)とWBA同級2位であるロバート・ヘレニウス(38)とのファイト開始まで、残すところ半日となった。

 前日計量で、ワイルダーは214.5パウンド、

Stephanie Trapp/TGB Promotions
Stephanie Trapp/TGB Promotions

 ヘレニウスは253.25パウンドをマークした。

Stephanie Trapp/TGB Promotions
Stephanie Trapp/TGB Promotions

 フィンランド人であるヘレニウスにとって、今回のファイトは完全なるAWAYだ。ここ数日、プロモーターが発表する情報は、ワイルダーに関するものばかりである。

Stephanie Trapp/TGB Promotions
Stephanie Trapp/TGB Promotions

 ニューヨーク入りしてからワイルダーは、NFLジャイアンツを表敬訪問し、こんなコメントを残した。

 「俺はフットボール、バスケットボール、ベースボール、サッカーを経験して成長した。どれもいい選手だったんだぜ。でもボクシングの世界に入ってからは、それが人生となった。簡単な道程じゃなかったけれど。既に成功は手にしたが、今回はKOを飾ってみせるよ」

Stephanie Trapp/TGB Promotions
Stephanie Trapp/TGB Promotions

 そして、最終記者会見では次のように述べた。

 「俺とヘレニウスはかつてスパーリングを重ねた仲だ。互いに尊敬し合っている。でも、心配しないでほしい。試合では野獣になる。火花を散らす戦いが展開されるよ。

 自分が成し遂げることを目にして、祝福してくれよな。

Stephanie Trapp/TGB Promotions
Stephanie Trapp/TGB Promotions

 マジで、心の底からヘレニウスに敬意を払う。俺も彼も相手を知り尽くしたうえで、この試合にサインしたんだ。彼は偉大なファイターだし、この試合はタイトルへの挑戦権が懸かっている。ヘレニウスと拳を交えることが、楽しみで仕方ないよ。お互いに戦士のメンタルを持っているんだ。

 この地では、俺のキャリアで指折りとなるノックアウト勝ちをしたんだよな。自分にとってはホームのような場所だよ。他のパフォーマンスに負けず劣らずの試合をお見せするさ。ファンもそれを期待しているだろうしね。

Henry DeLeon/TGB Promotions
Henry DeLeon/TGB Promotions

 過去のロバート・ヘレニウスは気にならない。今回のキャンプでは700ラウンド以上のトレーニングをこなした。オーバーワークにならないように最後はちょっとペースを落とす必要があったよ。うまくリフレッシュできた。

 多くの人が、俺の試合を希望して色々言ってきたが、今こそその時だ。今回勝てば、オレクサンドル・ウシク戦にも繋がるんじゃないか。

 俺のキャリア第2章を楽しめそうだろう? 自分はいつだって幸せである事と平和を口にしてきた。とにかく試合が楽しみだよ」

 王座から転落した際、トレーナーに責任転嫁したワイルダーだが、キャラクターを変えたのか?と思う程の喋りだった。

Stephanie Trapp/TGB Promotions
Stephanie Trapp/TGB Promotions

 ヘレニウスも言った。

 「ボクシングに人生を捧げてきました。つまり、自分にとってこの競技は全てなんです。ワイルダー戦に向けて出来る限りのことをした自負があります。無論、ワイルダーのパワーを認めています。だからこそ、フットワークとジャブを磨いてきたんです。

 私は"咬ませ犬"とされているようですが、キャンプで長所とパンチ力をアップさせました。そのうえでリングに上がります。自分を信じられなければ、ここにはいませんよ。もし、自分が世界ヘビー級王者になれないと感じるのであれば、もっと楽な道を選択しています。

Stephanie Trapp/TGB Promotions
Stephanie Trapp/TGB Promotions

 ここで多くを述べようとは思いませんが、今、自分の時が訪れようとしています。素晴らしい試合をご覧に入れます。スパーリングと試合は別物です。皆さんは、賢く戦うロバート・ヘレニウスを目にすることになるでしょう。

 過去に私もバークレイズ・センターのリングに上がりましたが、最高ですよね。ゴングが待ち遠しいです」

Stephanie Trapp/TGB Promotions
Stephanie Trapp/TGB Promotions

 さて、どんなファイトとなるか。ヘレニウスは<咬ませ犬の牙>を見せるか?

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

林壮一の最近の記事