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将来、井上尚弥が間違いなく呼ばれる「国際ボクシング殿堂」

林壮一ノンフィクションライター
撮影:筆者

 ニューヨークの田舎町、カナストータで毎年6月の第2週に催される「国際ボクシング殿堂フェスティバル」。

 新型コロナウィルス感染拡大の影響もあって、2020年と 2021年は式典そのものがキャンセルされた。

モズリー
モズリー写真:Shutterstock/アフロ

 現代のファイターは、引退から5年が経過していることが選考基準となっている。2020年に殿堂入りした男性の元チャンピオンは、シェーン・モズリー、ファン・マニュエル・マルケス、バーナード・ホープキンス。

ウォード
ウォード写真:REX/アフロ

 2021年はフロイド・メイウェザー・ジュニア、ウラジミール・クリチコ、アンドレ・ウォード。

ジョーンズ
ジョーンズ写真:Shutterstock/アフロ

 そして本年がロイ・ジョーンズ・ジュニア、ミゲール・コット、ジェイムス・トニー。

 2022年度の式典は、行われなかった過去2年分の殿堂入りファイターたちも招待されたので、例年より華やかな宴となった。

 世界タイトルが複数存在するように、「国際ボクシング殿堂」に対して「世界ボクシング殿堂」、また「ネバダ州ボクシング殿堂」「ニュージャージー州ボクシング殿堂」など、いくつもの団体が誕生している。

撮影:筆者
撮影:筆者

 "拳豪"たちが一堂に会し、旧交を温め合う様は、見ていて気持ちのいいものだ。また、ファンにはたまらない空間となっている。「国際ボクシング殿堂」入りは逃したものの、「ニュージャージー州ボクシング殿堂」で称えられる元王者の笑顔を目にするのは、取材者としても心が温まる。

撮影:山口裕朗
撮影:山口裕朗

 ノニト・ドネアは「将来、殿堂入り確実」と評されることが多いが、井上尚弥もいずれ間違いなくセレクトされるだろう。

写真:REX/アフロ

 フロイド・メイウェザー・ジュニアは、今年、式典でのスピーチ中に感涙し言葉を詰まらせた。それ程までに、チャンピオンたちが価値を感じているのだ。

在りし日のプライアーとフランキー夫人  撮影:筆者
在りし日のプライアーとフランキー夫人  撮影:筆者

 ただ……かつてカナストータに私を招待してくれた元ライトヘビー級世界王者のホセ・トーレスをはじめ、当地で知り合ったことでインタビューにつながった"マーベラス"・マービン・ハグラ―、アーロン・プライアー、アレクシス・アリゲリョ、レオン・スピンクスなど、お世話になった方々が次々とこの世を去っているのも事実である。

 こうして写真を整理していても、哀しみが蘇るところがある……。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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