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アルゼンチン人コーチが語った「ブラジルvs.日本」

林壮一ノンフィクションライター
(写真:ロイター/アフロ)

 実兄のピチは、あのディエゴ・マラドーナと共にワールドユース東京大会(1979年)で世界一となった右ウイング。息子は、チェンマイ・ユナイテッド(タイ1部リーグ)に所属していたエスクデロ競飛王。

 自身は、元アルゼンチンユース代表&ビーチサッカーアルゼンチン代表であるセルヒオ・エスクデロ。

 2019年末から、川越市のフットサル場で自らスクールを始め、今日、埼玉県のジュニアユース、トリコロールFCのコーチとして指揮を執る彼が、ブラジルに0-1で敗れたサムライブルーについて語った。

撮影:筆者
撮影:筆者

 6日のブラジル戦の日本代表は、頑張っていましたね。森保一監督がワールドカップでやろうとしている事が見えたように感じました。

 「ドイツ、スペインといった格上の相手に対しては徹底的に守って、引き分けを狙う。そして、コスタリカvs.ニュージーランドの勝者から、きっちりと勝ち点を奪う。1勝2分けでグループステージを突破する」というのが森保監督の考えでしょう。

写真:YUTAKA/アフロスポーツ

 ブラジルを相手に引き分ける策で、9人で守るような戦い方でしたね。守備に関しては一人一人が集中力を切らさずにハードワークして、良く戦ったと思います。

 ブラジルはコウチーニョやフィルミーノが日本戦のピッチに立っていないので、ベストメンバーではありません。もし日本に引き分けたりしたら、母国メディアに物凄く叩かれますから、勝たねばならなかった。

写真:YUTAKA/アフロスポーツ

 でも、ブラジルにワールドカップ南米予選時のような激しさは無かったですね。彼らにとっては、あくまでも"調整試合"ですから。<戦争>って雰囲気じゃなかったでしょう。

 確かに善戦したと言っていい内容でしたが、日本はこれで喜んでいてはワールドカップで勝ち上がれませんよ。

写真:YUTAKA/アフロスポーツ

 守りが合格だったとしても、サッカーはゴールしなければ勝てません。ブラジル戦を見て、鮮明になったのはストライカーの不在です。怖いFWがいませんでしたね。

 やはり、大迫勇也がキーになるのかな……。三笘薫はスタメンで使った方がいいと僕は思っています。ただ、古橋亨梧も三笘もストライカーというタイプじゃない。伊東純也もチャンスメイカー、クロスを上げるアシスト的な存在です。

写真:YUTAKA/アフロスポーツ

 所謂9番タイプのFWがいなければ、ワールドカップで苦しむでしょう。日本代表としてカタールに臨むFW陣は、開幕までに各チームで個を伸ばして「俺がゴールを決める!」という強い意識を持って1歩でも2歩でも成長してほしい。

 今回のブラジル戦では、「ストライカーがいない」という切実な問題点が浮き彫りになった、というのが僕の感想です。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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