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デビューから22連勝中のWBOウエルター級3位がアメリカに進出

林壮一ノンフィクションライター
(C) Tom Hogan/Golden Boy

 WBOウエルター級3位の英国人、マイケル・マッキンソン(27)が米国デビューを白星で飾った。対戦相手はシカゴに住む17勝(6KO)3敗のアレックス・マーティン(32)。

 サウスポー同士の対戦は、スピーディなジャブの刺し合いでスタートする。互いに相手のパンチをよく見て、ディフェンス能力にも長けていた。 

 両者とも攻守に一体感があり、教科書通りの綺麗なボクシングを見せる。ただ、スピードに乗っているため、スタミナが勝敗を分けそうだった。

(C) Tom Hogan/Golden Boy
(C) Tom Hogan/Golden Boy

 第4ラウンド8秒、マーティンの狙い澄ました左ストレートがマッキンソンを捉える。決定的なダメージは負わなかった世界3位だが、クリンチで凌ぐ。同ラウンドの2人は、腕を絡めるシーンが目立った。

(C) Tom Hogan/Golden Boy
(C) Tom Hogan/Golden Boy

 非常にスタイルが似通った両選手は、大きな山場を作ることなく試合終了のゴングを聞く。同タイプなだけに、やり難さを感じていたようである。終盤、観客はリングに向かってブーイングを浴びせた。

 結局、 98-92、97-93、99-91でマッキンソンが世界3位の貫録勝ちを収めた。

(C) Tom Hogan/Golden Boy
(C) Tom Hogan/Golden Boy

 試合後、勝者は言った。

 「失ったラウンドが、それ程あるようには感じなかった。基本的には相手を破壊するスタイルなんだが、僕のファイトにネガティブな視線を注ぐ人もいるね。お客さんを熱狂させなかったかもしれないけれど、耐えながら作戦を遂行した。自分の距離で戦うことを心掛けたんだ」

 一方、4つ目の黒星を喫したマーティンも話した。

 「ヤツは平均的選手だ。俺は傲慢な人間ではないが、もし再戦出来たらKOしてやるよ」

 デビュー以来、22連勝のWBO3位にタイトル挑戦のチャンスは訪れるか。白星のうちKOは2回。米国ファンからはブーイングされたが、技術は確かである。この選手が今後、どのようなキャリアを歩むのかに興味が湧いた。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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