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「The Sky is the limit(可能性は無限)」WBOフライ級王者中谷潤人

林壮一ノンフィクションライター
写真:山口裕朗

 4月9日に山内涼太を8ラウンド2分20秒で下し、WBOフライ級タイトル2度目の防衛に成功した中谷潤人。今回の勝利で戦績を23戦全勝(18KO)とした。

 WBAスーパーバンタム級チャンプだった下田昭文に、中谷について訊ねた。2019年11月20日にオープンしたJR北浦和駅前(さいたま市浦和区北浦和3-8ー2)に建つSugar Fit Boxing Gymで、下田は語った。

Sugar Fit Boxing Gym内で下田氏。 撮影:筆者
Sugar Fit Boxing Gym内で下田氏。 撮影:筆者

 「挑戦者の山内涼太にしてみれば、距離が遠かったでしょう。中谷潤人は身長が高くリーチも長いのですが、離れて戦うだけじゃなく、インファイトも出来ます。パンチの角度が多彩ですよね。それに、ボディーへのパンチは全て強打だなと感じました。

写真:山口裕朗
写真:山口裕朗

 山内の所属する角海老宝石ジムは、叩き上げで勝負強い選手を生むな、というイメージです。<死に物狂いでやってやる!>みたいな選手が多いですよね。山内もそうでした。

 山内は頑張って距離を詰めていきましたね。しぶとかったし、粘りました。でも、やはりずっと中谷ペースでした。もっと早く仕留められたかなとも思いましたが、色々試したかったのかもしれませんね。

写真:山口裕朗
写真:山口裕朗

 中谷は昨年末にメキシコ人チャレンジャーのクリスチャン・ゴンサレスと戦う筈でしたが、コロナもあって、挑戦者が代わりましたね。言ってしまえば「勝って当たり前」と見られる試合です。試合延期、対戦相手変更と、モチベーションを維持することが大変だったでしょう。

写真:山口裕朗
写真:山口裕朗

 このままスーパーフライ級に転向しても、中谷は勝ち続けられそうですね。安定して防衛を重ねられるように見えます。ローマン・ゴンサレスのような伝説とやったら、どうなるかな? と楽しみな選手ですね。

 今後のボクシング界の主役となる逸材です。無限の可能性があるように思います」

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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