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13戦全勝同士がぶつかったスーパーフェザー級のサバイバルマッチ

林壮一ノンフィクションライター
Photo:Ryan Loco/SHOWTIME

 身長、リーチ共に178センチと、130パウンドでは恵まれた体型であるウイリアム・フォスター(28)が、無敗対決を制してデビューから14連勝を飾った。彼も対戦相手のドミニカ人サウスポー、エドウィン・デ・ロスサントス(22)も、リングイン時の戦績は13勝無敗。

 9KOのフォスターに対しロスサントスは12KO。高いノックアウト率から、ドミニカンの勝利を予想する者も少なくなかった。

Photo:Ryan Loco/SHOWTIME
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 コネチカット州ニューヘイブン在住のフォスターは、本来スロースターターだが、この日は手数でロスサントスを上回る。

 ドミニカ共和国の首都、サントドミンゴ出身のロスサントスは、4ラウンドに左目の上をカットした。プロ生活で彼がこうした傷を負うのは初めてのことだった。また、この回、ドミニカンはホールディングで減点を告げられる。

 フォスターが8回戦を戦うのは4度目で、2度、判定まで縺れていた。ロスサントスも過去に、8回戦、10回戦を経験してはいたが、第6ラウンド開始のゴングを聞いたことは無かった。加えてこの日が米国でのデビュー戦だった。

Photo:Ryan Loco/SHOWTIME
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 このあたりのキャリアの差が出たか、ロスサントスは失速していく。

 「試合開始直後のロスサントスのスピードに驚いた。冷静に対処しなければと感じた。彼も崩れなかったが、自分もダメージは受けなかった。相手は飛ばしていたから、ペースダウンすることは目に見えていた。ずっとプレッシャーをかけ続けていたし、そこでギアを入れたことが勝因だね。手数もこちらが優っているし、僕の方がより動いたさ。判定は正しいと思う」

 フォスターはそう振り返ったが、77-74、77-74、74-77で勝利を掴んだ。

Photo:Ryan Loco/SHOWTIME
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 一方、ロスサントスは第4ラウンドの減点に不満を述べた。

 「勝ったのは俺だ。減点されるほどのホールドじゃなかった。接戦だったが、強いパンチを浴びせていたのはこっちだ。十分、ポイントを稼いでいた筈。ヤツのパンチじゃ、どこも痛んじゃないない。

 フォスターは予想していたよりも不器用だ。必ずもっと強くなってカムバックしてやる」

 フォスターにはプロボクサーの兄がいる。20戦全勝10KOのライトヘビー級、チャールズ・フォスター(31)だ。188センチのサウスポー、チャールズの後を追うスーパーフェザー級の弟は、兄と同じく、全勝を守った。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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