Yahoo!ニュース

デビュー以来11連勝を飾った世界7位

林壮一ノンフィクションライター
(C)Ryan Loco/SHOWTIME

 東ヨーロッパ、ジョージアのトップアマがフロリダ州マイアミビーチに移住して、米国でプロデビューしてから16カ月。この程、11度目のリングに上がり、全勝記録を更新した。

 その名はオタール・エタノシャン。WBAスーパーフェザー級7位にランクされる28歳である。

(C)Ryan Loco/SHOWTIME
(C)Ryan Loco/SHOWTIME

 対戦相手のドミニカ人サウスポー、スターリング・カスティーリョも16戦全勝12KOと期待の26歳で、米国での3戦目を迎えたが、格が違った。

 ファーストラウンド、1分15秒。エタノシャンは左フックをクリーンヒットし、カスティーリョからダウンを奪う。この回、更にドミニカンを倒し、10-7とポイントを稼ぐ。

(C)Ryan Loco/SHOWTIME
(C)Ryan Loco/SHOWTIME

 その後は、ジョージアンがいかにドミニカンを仕留めるかが注目された。2回、力強い左フックが複数回カスティーリョを捉える。ドミニカンは距離を取ろうとするが、エタノシャンはそれを許さない。

 6回、7回にもカスティーリョはエタノシャンの左フックを浴び、ダメージを蓄積させた。

(C)Ryan Loco/SHOWTIME
(C)Ryan Loco/SHOWTIME

 が、エタノシャンはカスティーリョと自身の力量差を感じながらも、フィニッシュできなかった。8回戦で行われたこのファイトは、80-70、80-70、79-71 でジョージアンが白星を挙げた。

 試合後、エタノシャンは語った。

 「左フックの練習を重ねた。最初のノックダウンはその成果だよ。彼は起き上がってきたけれど、それがプロボクシングってものさ。12ラウンドでも10ラウンドでも、8ラウンドのファイトでも対応する。今夜は、素晴らしい仕事が出来たと思う」

(C)Ryan Loco/SHOWTIME
(C)Ryan Loco/SHOWTIME

 2021年だけで6試合をこなして世界ランキング入りしたエタノシャンは、価値あるビッグネームとの対戦を切望する。

 「シャクール・スティーブンソン(WBOスーパーフェザー級王者)だろうが、オスカル・バルデス(WBC同級チャンピオン)だろうが、どの団体の王者とだって戦う。もう準備万端だ。

 試合の度に自分は成長している。今こそ、世界戦のリングに上がる時だと信じる。直ぐにでも王座に挑戦し、世界チャンピオンになってみせるよ」

 勝利すると、必ずリング上でカツラを被って笑顔を見せるパフォーマンスもファンに覚えられてきた。

 オタール・エタノシャンは、今年、ボクシング史に名前を刻めるだろうか。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

林壮一の最近の記事