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WBCミドル級挑戦者決定戦

林壮一ノンフィクションライター
(C)Esther Lin / SHOWTIME

 WBCスーパーウエルター級8位のカルロス・アダメスが増量し、同ミドル級3位のセルゲイ・デレイビャンチェンコを2-0の判定で下した。

 アダメスがミドル級で本格的に試合をするのは初めてであったが、WBCタイトルの挑戦者決定戦として認められてのファイトとなった。

 2019年11月30日に、WBO世界スーパーウエルター級暫定王座決定戦でパトリック・テシェイラに判定負けしたアダメスだが、黒星から多くを学んだことを、この日のリングで示した。

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 36歳のウクライナ人、セルゲイ・デレフヤンチェンコはこれまでに挑戦者決定戦には勝利するものの、空位の王座決定戦やタイトル挑戦では苦杯を呑んできた。

 そのベテランに対し、27歳のアダメスはアグレッシブさを見せ続けた。接近戦でも離れた距離でも効果的に顎へのアッパーを見舞った。

 結局、97-93、96-94、95-95のスコアでアダメスが勝者となった。

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  自身の戦績を21勝(16KO)1敗としたドミニカン人の勝者は、試合後に言った。

 「この勝利は非常に大きな意味がある。攻撃力とスピードは自分が生まれ持ったものだ。デレフヤンチェンコは立ち上がりがスローだった。見過ぎていたね。作戦ミスじゃないかな。俺のハードパンチを喰らう度に消耗していったよね。ダメージの具合が何よりの証さ。

 彼がミドル級で戦う機会を与えてくれた。154パウンドでも、160パウンドでも圧勝する自信はある。是非、タイトル戦が決まってほしいね」

(C)Esther Lin / SHOWTIME
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 13勝(10KO)4敗となったデレフヤンチェンコは「アダメスは変わらないスタイルで戦うだろうと思っていた。サウスポーにスイッチしたが、特別なものは何も感じなかった。今後、どうするかは、まだ分からない。少し休んでからジムに戻るよ。私はボクシングを愛しているし、試合が好きだからね」と話した。

 挑戦者決定戦と謳われたファイトだが、果たしてジェモール・チャーロはアダメスとの防衛戦にサインするだろうか。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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